ビジネスの発想に役立つ「実践的弁証法」入門


最後に、失敗とは何かということについて考えてみたいと思います。

失敗とは何でしょうか。お金を損することではありません。何かの取り組みがうまくいかないことでもありません。失敗とは、「予測が外れることから起きる状態」をいいます。

たとえば、ある期間にお客さんが50人来ると予測を立てて、ぴったり50人のお客さんが来れば成功です。お客さんが49人でも51人でも予測が外れていますので、つまり失敗したということです。予測が外れるのは、因果を正しく把握し、コントロールできていないからです。

現状を正しく把握するには、環境や競合、自身のリソース、そしてそれ以外にどのような力が働いているのかを分析しておくといいでしょう。

ファイヴ・フォース・アナリシス

たとえばアメリカの経営学者マイケル・ポーターが作った「5つの力分析(ファイヴ・フォース・アナリシス)」というチャートは、現状をときほぐすために有効です。


Shutterstock

「5つの力分析」は外部分析とも言われ、次の5つの切り口で環境を理解しようとするものです。

1.業界内の競争
2.調達の競争 
3.販売の競争
4.新規参入
5.代替

1の「業界内の競争」とは、業界内で競争がどのくらいあるのか、ということ。その業界にどのくらいのライバルがいて、どの程度の力を持っているかを知っておくことです。

2の「調達の競争」とは、人やモノのリソースはどのくらいか、ということ。理容室であれば、ハサミやクシなどの道具から、腕のいい理容師が確保できるか、ということも含まれます。

3の「販売の教則」とは、その地域に潜在的なお客さんがどのくらいいるのか、ということです。

4の「新規参入」とは、新たにライバルが参入してくる可能性はあるか、ということ。たとえば、それまで理容室をやっていなかった企業がカットサービスを始めるなど、他の業界からライバルが来ることも考えられますね。

5の「代替」とは、お客さんがほかの業界に流れる可能性があるのかということです。従来の理容室から見れば、10分1000円の理容室にお客さんが流れたり、美容室に行ったりする男性が増えていくこともあるわけです。

このように分析し、予測の精度を高めたうえで挑戦し、それでも万が一失敗したら、失敗の原因を見直したうえで「弁証法的発展」をさせていく。これが、正しく失敗して、正しく成長していくということなのです。

編集=石井節子

この著者の記事一覧へ

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい