No Cooking No Life ! 料理こそが人を育てる

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Healthy Kitchens, Healthy Livesが提案したい健康的な食というのは、もしかしたら保存食の中に含まれるUMAMI、または雑穀や穀物の持つ成分がカギではないかっていうことにここで気づいたのです。しかし、世界的にはまだUMAMIという言葉も定着していなければ、その成分についても知られていないので、それらの食材が使われていたのは目からウロコでした。

多くの参加者は与えられたレシピやスーパーフードの大切さに目を丸くしていましたが、僕が感じたことは別の事のようでした。そして、この経験が、僕のUMAMIに対する探究心に火をつけ、いまに至るまでさまざまな勉強や研究をするきっかけになっています。

このプログラムを通して石川君といろいろな意見交換ができ、医者と料理人はもっと距離を近く保たないといけないんだなっと思いを強くし、いまも多数のプロジェクトに一緒に取り組んでいます。


2019年の春には一緒にバルセロナのサグラダ・ファミリアに。左は芸術工房監督の外尾悦郎さん

多くの現代病や社会問題は「食の歪み」が大きな原因だというのが僕の考えです。そんな中、このHealthy Kitchens, Healthy LivesのようにUMAMIを無意識に使っているのを見ると、地域社会に根付いた保存食ベースの食文化を改めて見直し、継承、伝承していかなければいけないと思いました。

また、料理をすることの大切さを感じました。プロだからプロとしてお店で出す料理はもちろんですが、お客さんでない一般の人にも、料理の楽しさを伝えなければいけないな、と。


帰国時には原宿のお店で料理教室を開催。塩などの調味料がいかに少なくてすむか驚く参加者も多い。

食は心身ともに人を育てるので、「No Cooking No Life!」ですね。食直しは世直しなんて言う友人もいますが、食生活についてもっとお医者さんや地域の農家さんたちと学び、共創していけたらと思います。

連載:松嶋啓介「喰い改めよ!!」
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文=松嶋啓介

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