国内Eコマースのリーディングカンパニーであり、網紅を含む中国のインフルエンサーを発掘・育成する企業である「ルーハン・ホールディングス」が今年、アメリカで新規株式公開を果たしたことも、中国の「超」インフルエンサーマーケティングの隆盛を物語る。
中国経済の現在と未来を変える「網紅」とKOLたち
ビジネスモデルを網紅たちに依存するこの企業は早くも、現在の中国における「網紅経済」でもっとも成功した企業となっている。そして、ルーハン・ホールディングスの共同創立者、張大奕(ジャン・ダーイー)自身を含むオピニオン・リーダー集団は、中国経済の現在と未来を静かに変えつつある。
ルーハン・ホールディングスの共同創立者張大奕(ジャン・ダーイー)(写真出典:Visual China)
2018年、米コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーが発表した「中国ラグジュアリー・レポート」によれば、現在、ミレニアル世代が中国のラグジュアリー製品市場の主軸となりつつある。さらに、この世代の消費傾向は「KOL(キー・オピニオンリーダー)」に大きく影響されているという。
では、どのような人物が「KOL」と呼ばれるのか。 中国のメディア・コミュニケーション分野のリーディングカンパニー「群邑中国」のプロダクト・ディレクター楊晉竜(ヤン・ジンロン)によれば、「KOLの持つべき3つの要素」は、1.特定の分野で実績があること、2.能力があること、3.相当量のファン層がある、つまりより広く影響をおよぼせること、だ。
代表的なKOLの一人であるDivus Zhengは、KOLでもっとも重要なのは、いわば「つぶしが利くこと」と言う。「独自のブレない主観を持っていて広いジャンルに応用が利くこと、外見だけに頼らなくても市場にアピールできることが大事です」
Divus Zheng
群邑中国は昨年発表した「2018年美容社会白書」の中で、独自調査によるデータ分析ツール、「Xiaohongshu」を用いた「RED網紅分析2018」を紹介している。ここでは影響力のある100人が名を連ねているが、セレブは一握りで、美容の分野に影響力を持つKOL、あるいは網紅たちがリストの大部分を占める。
その中でも5位のブロガー、ビューティーポテト(Beauty Potato)は、中国の人気モデルで女優のアンジェラベイビーよりも高い「影響力指数」を誇っている。
多くの報告書が、網紅たちの間で現在、「种草(草を植える)」というキーワードが取り沙汰されていると報告している。「草」を育てる能力があるか、あれば何種類の「草」を育てられるか、そしてそのことによって市場に与えられる影響力はどれくらいかを表す。この能力は調節、消費者の消費傾向を左右するというのだ。