新井章太 不遇時代も「不断の努力」。セカンドキーパーからMVPへの逆転劇

川崎フロンターレ・GK新井章太(Masashi Hara/Getty Images)


「努力が報われた」。周囲が絶賛するMVP
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ドラマはまだ続く。表彰式で発表される決勝戦のMVP。2ゴールをあげたキャプテンの小林か、という思いが大勢を占めたなかで、名前を呼び上げられたのは新井だった。

「新井がようやく報われた日が来た。最高に嬉しかったな!!おめでとう!!」(原文のまま)

いま現在はジュビロ磐田でプレーする大久保が、居残りのシュート練習を思い起こしながら祝福のツイートをつぶやけば、大黒柱の中村憲剛は「ちょっと幸せな気持ちになりました」と、初優勝の余韻が残る試合後の取材エリアで思わず目を細めた。
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「章太は出られなかったときからすごく努力をしてきましたし、それはみんなも認めているし、ずっと見てきた。頑張る選手には転がってくるんだな、努力は報われるんだな、と。頑張る年月が長過ぎたくらいですけど、この業界、なかなかそうはならないことが多いなかで、ここまで一気にブワッと来たのはあまりないので。素直に感謝したし、今日の章太は調子に乗っていいと思います」

苦楽をともにしてきた菊池新吉ゴールキーパーコーチの粋な計らいもあって、ダイブした後に新井の手を離れていたウイニングボールは、試合後に再び新井のもとへ届けられた。

「常に上を目指してきた結果がこうなったけど、でもこれが最後じゃないので。まだまだ反省するところはあるし、反省をどんどん課題に変えていって、これからもしっかり頑張りたいし、こういう姿を他の選手たちにも伝えていきたいですね」

自宅内のどこに置こうかと迷ったウイニングボールは、苦節9年目でいぶし銀の輝きを放っている新井に、歩んできた道が正しかったことを、そして積み重ねてきた努力の尊さを示すかのように、その後のリーグ戦でも守護神を拝命する持ち主をクローゼットのなかからいつも見つめている。

連載:THE TRUTH
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文=藤江直人

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