27日のS&P 500種株価指数とダウ工業株30種平均は、3日連続で最高値を更新した。株式市場は予想を上回る経済指標に後押しされ、第4四半期も適度な拡大が続くとの見通しが高まった。
直近の統計で第3四半期の米実質国内総生産(GDP)改定値は前期比2.1%となり、速報値の1.9%から上方修正された。一方で、速報値で3%減とされた企業設備投資も2.7%減にとどまった。
10月の個人消費の伸びや失業率の低下が示される中で、景気見通しは改善し、短期間でリセッション入りする懸念は遠のいた。さらに26日にはトランプ大統領が、米中の交渉が最初の重要な合意にむけての最終段階に入ったとコメントしたことで、貿易交渉の先行きにも楽観ムードが高まった。
それに加え、相場を後押ししたのが第3四半期の企業収益の好調さだ。S&P 500銘柄に含まれる484社のうち、75%の企業の業績は予想を上回り、予想に届かなかった企業は18%だった。これまでの平均的な四半期においては、予測を上回る企業は65%に過ぎなかったとされる。
今年に入り、S&P 500は約25%の上昇となり、ダウ平均も21%近い伸びとなった。S&P 500は過去1カ月で12回以上、最高値を更新している。
米国の大手金融ブローカーのコモンウェルス・ファイナンシャル・ネットワークの投資主任、Brad McMillanは直近の顧客向けレポートで「現在の株式市場には楽観ムードが漂い、需要は力強い。このトレンドはしばらく続く」と述べた。
リセッション入りの懸念は当面の間は後退し、米国株の上昇は2020年まで続くとの見方もあるが、ロイターの直近の調査では、伸び幅は今年よりは縮小する見通しだ。アナリスト投票では、今後の市場の成長を後押しするのは世界経済の安定的な発展や、各国政府による金融緩和、米国企業の収益の改善とされた。
一方で、2020年の最大のリスク要因といえるのは大統領選挙にからむ不確定要素や、米中の経済対立が世界経済にダメージを与えることだ。米中の交渉の先行きが楽観視される一方で、民主化デモが吹き荒れる香港では予断を許さない状況が続いている。