WHO(世界保健機関)は、スマートフォンや携帯型音楽プレイヤーなどによる難聴リスク(イヤホン難聴、スマホ難聴)が、世界の12~35歳の人口の約半数、11億人にあると2019年2月に警鐘を鳴らした。大音量で長時間に渡り音楽鑑賞をした場合にリスクが高く、WHOは85デシベル超で8時間、100デシベル超で15分の音量にさらされるのは安全でないとしている。
スマホ難聴について、韓国のEcho耳鼻咽喉科、小児科の耳鼻科医、ジェイ・キムは、「電車内など周囲が騒がしい環境では、どうしても音量を大きくしてしまうことがあるでしょう。その時、音楽の高周波部分が鼓膜にダメージを与え、ダメージが徐々に蓄積され難聴になってしまう。もしスマホ難聴になったとしても数時間の耳鳴りくらいしか自覚症状がなく、普段の会話には影響がないのでなかなか気が付きにくい」と説明する。
どうしても電車内など騒音のある環境下で音楽を楽しみたい場合は、イヤホン型よりもヘッドフォンのほうがリスクが低いともキムは語る。
現状では、難聴になった場合、補聴器か集音器が助けになってくれる。しかし、先進各国の補聴器使用率は、ドイツで34%、イギリスで41%、フランスで30%、アメリカで24%と軒並み20%を超えているのに対し、日本での使用率は14%と低い。
ちなみに、補聴器は、医療機器であり、騒音を抑え、音域を調整し聞こえを補助する。医療機器であるため、平均価格は15万円と高額だ。国によっては、公的補助の対象になることもあるが、日本ではなっていない。
集音器は、医療機器ではなく、音響機器として聞こえをサポートするものを指す。
日本で補聴器の使用率が低い理由は、高額なことに加え、装着することへの恥ずかしさ、形やデザインの問題が大きいと日本補聴器工業会の調査で明らかになっている。
すでに日本の難聴者数は、1500万人を超え、超高齢化社会を迎え増加傾向にあるとも指摘されている。