ビジネス

2019.11.29 14:30

8期連続赤字でも事業を続けられた理由「仕掛けて待て」|弁護士ドットコム 元榮太一郎




──サービスが大きくなるまでの間、登録弁護士数とユーザー数のどちらを伸ばすことに重心を置かれていたのでしょうか。

今あるアセットを活かして、どちらも同時に増やす施策を講じていったイメージですね。

弁護士の登録者数が1000人を超えるようになって、弁護士ドットコムニュースのニュース記事を作成していただける弁護士の先生が増え、ニュースコンテンツの量が増える。コンテンツが増えるとサービスのトラフィックが増えて、ユーザーが増える。そして、また弁護士が増えるといったようにどちらか一方だけを伸ばそうとするのではなく、交互にサイクルを回しながら利用者を増やしていきました。

投資家に求めたのはお金ではなく知見

──順調に動き出していた中で、創業して7年たった2012年8月のタイミングで外部資本を入れた理由を教えてください。

月間サイト訪問者数が100万人ぐらいまでは自前でやろうと思っていました。繊細なハンドリングが必要な段階までは、自分でコントロールしたいと思っていたからです。

弁護士業界には独自の風土がありますから、その感覚値を他の業界の方に共感していただくのはなかなか難しい。そのため、事業が十分成長するまでは外部資本を入れずに弁護士である私がハンドリングしていこうと思ったのです。

訪問者数100万人になると、収益化の選択肢が飛躍的に広がり、収益力が高まるということを聞いていたので、100万人が近づいてきた数カ月前から動きはじめて外部資本を入れることに決めました。

──投資家に求めるものは何でしょうか。

各社各様だと思いますが、少なくとも私が求めるのは、お金ではなくて、知見です。インキュベーション力こそ重視するポイントです。

どういったことかというと適切なアドバイザーのアレンジや、コミットする社員やスタッフを紹介していただくといった仲間集めに貢献してくれることです。

そういった意味で、最初に出資いただいたデジタルガレージ(当時)の石丸氏は、食べログの創始者である村上氏などウェブサービスの知見を持つ方をご紹介くださいました。

村上氏は、食べログが無料店舗会員から有料化へ舵を切る戦略を立てた方。まさしく弁護士ドットコムがやろうとしていることをすでにしてきている人でした。こうした経験者のアドバイスは何事にも代え難く事業成長にとって大変有益です。

なので、投資家はお金ではなくこういった知見や人脈において力になってくるか、という観点で選ぶようにしていますね。

連載:起業家たちの「頭の中」
過去記事はこちら>>

文=下平将人 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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