なぜ、人口減の日本市場に期待するのか
11月には、代官山蔦屋書店でNordgreenの期間限定販売に合わせて、CEOのバジリ・ブラントが初来日した。
実は、デンマークの本社は、正社員20人のうち4人が日本人。日本語が堪能なデンマーク人も1人いる。ブランドの哲学に共感した人たちが世界各地から、チームに仲間入りしているという。オンライン販売を手がけるウェブサイトは日本語版があり、クレジットカードだけでなく、コンビニ支払いにも対応している。
香港や台湾、韓国にも同時に販売しているというが、人口減少が進む日本市場になぜ期待しているのだろうか。
ブラントはまず、「日本人は、デザインに対する価値の重要性を理解している」という点を挙げた。他の国に比べて、極限までシンプルを極めた中で、最大限の心地よさを生み出す北欧デザインへの親和性が高い、というのだ。
また、日本が「ものづくり大国」であるという点だ。商品に対して細やかな精度を求め、耐久性なども重視する。日本製のクオーツを使用しているため、腕時計の裏側には、「JAPANESE MOVEMENT」と記されている。安価でありながら、クオリティを落とさない。
日本では人口減少が進んでいるとはいえ、WHOによると、2018年の人口数は世界10位。人口数は依然として多く、「オンラインビジネスが活発であること」にも注目している。日本市場は今後さらに「サステナブルへの関心を高め、環境に良いものへとシフトしていく」と期待しているという。
日本とデンマークでは、もともとミニマリズムの価値観を共有していることから、日本から他の地域へとブランド哲学を広げていきたい考えだ。
Nordgreenのデザインは基本的にはユニセックスであり、男女問わず身につけられる。ベルトは、イタリアの本革や金属メッシュ、ナイロン素材などに付け替え可能だ。
ブラントいわく、「デンマーク人は先のことを考えすぎず、『いまを生きること』に重きを置いていて、哲学的」だという。「自分自身の考えを大切に、過去から学び、いまを生きることで、より良い未来を作り出していく」という思いを込め、「フィロソファー」というコレクションの秒針は非対称のデザインだ。
文字盤の裏(写真左)は蝶をモチーフにしたデザイン。/ PIONEER (Nordgreen)
文字盤の裏を向けると、砂時計や蝶など、種類によってデザインが違う。
男性向けの大振りのコレクション「パイオニア」は、重さや厚みがあり、サファイアガラスが使用された表面は傷がつきにくい。もちろん女性が使っても良い。クロノグラフの秒針の先が赤いのは、風力発電で使われる風車のデザインからインスピレーションを受けている。グリーンエナジーの開拓者であるデンマークらしいこだわりだ。