フォルクスワーゲン傘下のアウディは、人員削減により66億ドル(約7200億円)のコスト削減を見込んでおり、デジタル部門及びEV車部門で新たに2000人の雇用を創出する計画だ。「当社は未来に向けて組織の最適化を進める必要がある」とアウディは述べた。
ただし、主要部門の人員の雇用は2029年まで保証されるという。アウディの労組代表のPeter Moschは「経営側との合意によりコア部門の雇用は確保された」と交渉の成果をアピールした。
アウディはEVの増産に向けた設備の増強も行っていく。本社を置くドイツ南部のインゴルシュタット工場とネッカースウルム工場には、EV車用のラインが増設される。
同社の競合でメルセデス・ベンツを傘下に持つダイムラーも、11月上旬に1000人以上を削減する計画を発表していた。アウディCEOのBram Schotは声明で「変革の時代において我々は、組織のアジャイル化と効率化を進めていく」と述べた。
ドイツ経済を牽引する大手自動車メーカー各社は苦境に直面している。BMWやダイムラー、フォルクスワーゲンらは世界の大手メーカーと同様に、世界経済の減速や米中の貿易対立、EV向けの投資コストの増大などに頭を悩ませている。
アウディと親会社のフォルクスワーゲンは、2015年に発覚したディーゼル車の排ガス不正問題で昨年、ドイツ当局から罰金10億ユーロ(約1300億円)の支払いを求められた。さらに、今後製造する車両をEUが定める厳格な排ガス規制に適合させるためには、莫大なコストが必要だ。
アウディは今年、同社としては初のEVを市場に投入し、フォルクスワーゲンは2025年までにEVの年間販売台数の100万台達成を目標に掲げている。