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2019.11.27

イーベイが傘下のチケット転売「スタブハブ」を売却した理由

photobyphm / Shutterstock.com

イーベイは傘下のチケット再販企業「スタブハブ(StubHub)」を、40億ドル(約4360億円)で競合のViagogoに売却した。イーベイのこの動きは、同社の出資元の物言う株主らのプレッシャーを受けてのものだ。

スタブハブとViagogoらは合併後に、70ヶ国以上でコンサートなどのチケットの再販を手がける企業になる。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は今年1月の段階で、イーベイの出資元のエリオットマネージメントやスターボードバリューらが、スタブハブの売却を要求していると伝えていた。

スタブハブの事業はイーベイの本業と関連性が乏しいが、この報せを受けてイーベイの株価は約1%上昇した。

Viagogoは過去2年で複数の法的トラブルに見舞われており、今年4月にはオーストラリアの裁判所で顧客に虚偽の情報を与えたとの判決を受けていた。また、7月にはグーグルのポリシー違反に問われ、一時的に広告出稿を停止させられていた。

Viagogoの広報担当は、「グーグルからの訴えには対応を行い、既に問題は修復した」と述べている。同社は英国においても顧客に虚偽のチケット情報を提供したとの訴えを受けていた。

スタブハブの創業者でCEOのEric Bakerは、スタンフォード・ビジネススクールに在学中だった2000年に同社を設立し、2007年に3億1000万ドル(約338億円)でイーベイに売却した。さらにその後、Viagogoを創業していた。

イーベイはその後、スタブハブの収益化に苦戦した。イーベイは自らを「オークションサイト」と名乗ってはいるものの、売上の80%は定価販売のアイテムから得ている。

イーベイの今年の第3四半期の売上において、スタブハブが占める割合は14%だった。イーベイは投資家に、第4四半期の売上が過去数年で初めて減少に転じるかもしれないと警告していた。

スタブハブもここ数年で、複数の法的トラブルに直面していた。今年2月にカリフォルニア州で起こされた集団訴訟では、スタブハブが不正な仲介手数料をチケットから得ているとされた。イーベイとViagogoの広報担当は、この件に関するコメントを拒否した。

Viagogoの広報担当者によると、スタブハブと同社は当面の間、独立したオペレーションを維持していくという。レイオフや組織再編の計画は無いと、担当者は話した。

編集=上田裕資

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