ビジネス

2019.11.28

少子化が進む日本でレゴが「店舗数を増やす」理由

デンマークの玩具メーカー・レゴは今年、企業の消費者からの評判調査、マネジメントサービスを提供する「レピュテーション・インスティテュート」のランキングで、前年から2つ順位を上げて首位に輝いた。

同社の環境に配慮した先進的な取り組みが評価された結果だ。

サステナビリティはもはや世界的なトレンドといえる。サステナブルを目標に掲げながら、現時点で具体策を実行し、結果を出している企業が少ない中、レゴは他の企業と何が違うのか。

11月25日、日産とのコラボ商品発表のため、レゴグループCEO就任以来初の来日となったニールス・B・クリスチャンセンに話を聞いた。


私たちが環境に配慮して講じてきた策の数は、他社と比較しても確かに圧倒的に多いでしょう。

例えば、昨年から、植物由来のポリエチレン素材を使用したレゴブロックの製造を始め、現在では同素材のレゴブロックが全体の2%を占めています。

2025年までには製品パッケージを全て持続可能素材に切り替え、2030年までにレゴの全ての製品を持続可能にすることを目指しています。

CO2排出量軽減のためには、中国のレゴ工場にソーラーパネルを設置し、レゴグループであるドイツとイギリスの洋上風力発電所への投資を強化しました。グローバル企業として、世界各国でできることを推進しています。

しかし、ご存知の通りこれだけ環境へ配慮した取り組みを進めても、利益には直結しません。事実、昨年のレゴグループの業績は振るっていません。売上高は前年比8%減の350億デンマーククローネと、営業利益は16%減少しました。

この状況でもなぜ、これほど地球環境に配慮した取り組みを加速させるのか。その理由はいたってシンプルです。

50周年を迎える「Speed Champions(スピードチャンピオン)」シリーズの新商品として、「Nissan GT-R NISMO」を発売した日産自動車執行役副社長の星野朝子と、レゴグループCEOのニールス・B・クリスチャンセン
「Nissan GT-R NISMO」を発売した日産自動車執行役副社長の星野朝子と、レゴグループCEOのニールス・B・クリスチャンセン

レゴは、1932年創業の家族経営の企業です。そして、クライアントはもちろん、レゴブロックで遊ぶ子どもたちです。

どの家族にもそれぞれのルールが存在するかと思いますが、レゴファミリーが創業以来87年間大切にしてきたのは「地球と、未来を作る子どもたちを一番に考える」ということ。CSR(=社会貢献)こそが僕たちの使命です。

それを現在まで守り、実行してきただけのこと。

昨今では、サステナビリティをテーマにした取り組みを進める企業も増えてきましたね。私たちが87年間信じて実行してきたことが、彼らにとっていい見本になればと思っています。
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文・写真=守屋美佳

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