ここに並ぶアート作品は、最も高価なものでも数百ドルほどと、エントリーレベルのアイテムが揃っています。
アート作品に限らず、アイテムを購入してすぐに転売する行為には賛成できませんが、若い来場者が数百ドルで買ったアイテムが、何年後かに価格が高騰していることは十分にありえます。それを販売したお金で、その時に欲しい高額なアート作品を買うのは、アート業界にとってもいい動きだと思っています。
富士山を背景に巨大なパブリックアートを設置したことで話題になったアーティストのKAWSや、今年、これまでで一番大きなスペースでブースを展開してくれた村上隆率いる「カイカイキキ」のアーティストたちが、来年のコンプレックスコンではオークションへの参加方法などを来場者に教えたいと言ってくれています。
コレクターや、アートに少しでも興味のある人にとってはこれ以上の機会、なかなかないのではないでしょうか。物を買う場だけではなく、来場者の身になる機会を提供できるようになったら、それこそ大きな変化だと思います。
コンプレックスコンはストリートカルチャーの中心にあるファッションやスニーカーを購入する場だと思われがちですが、実は僕が一番好きなのはアートなんです。だから、アート面も強化することができれば、個人的にもそれ以上に喜ばしいことはありませんね。
熱狂を生むために必要なもの
初年度には、ナイキがかなり大きなスペースのブースを出展していました。
しかし、長蛇の列ができることを理由に、前回から出展をしていません。ただ、コンプレックスコンの来場者が求めるものが変化しつつあるので、彼らのようなビッグブランドを迎えることなく運営をできるようになったということでもあります。
こうしたプラスの進化も多くありますが、これだけ人気が出てきたからこそ解決すべき問題も出てきました。今マストで取り組むべき課題は、商品を購入するために来場者がつくる長蛇の列です。
今回も、これまでの経験からスタッフの人数を強化しましたが、何時に行列ができやすいのか、アイテムを購入する場所と受け取り場所が異なることにどれだけ多くの人が迷ってしまうかなど、来場者の動きは予想がしにくい点も多い。最終的に、来場者がアイテムを受け取るまでに平均2時間、列に並んでもらっていました。