高校生の頃から頭で考えるスタイルは確立していたので、高校でも大学でも、コーチとはぶつかりました。戦略や戦術が間違っていると思えば、「こっちの方がいい」とはっきり伝えて引かなかった。
日本人として珍しいかもしれませんが、みんなの前で監督やコーチに反対意見を言うこと、衝突することは何も気になりませんでした。それは、目指すことはひとつで、勝ちたかったから。勝つためには、一番いい方法を選ぶべきじゃないですか。
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人生は変わらなかったけど歴史は変わった、ワールドカップ
これまで経験したことのないプレッシャーの中で、戦ったワールドカップ。「人生を変えよう」とチームメイトたちと言い合ってきましたが、全試合が終わった今、人生は何も変わっていません(笑)。
まぁでも、歴史は変わったと思います。ラグビーの存在価値が上がって、みんながすごくハッピーだと言ってくれている。もちろん、僕もハッピーです。それで十分だと思っています。
一方で、今は目標がなくなってしまいました。日本のベストチームの体制で、すべてを注ぎ込んでやってきたので、日本代表の活動が終わるとやはり、ふわっとしてしまう。特に僕は、舞台が大きくなればなるほど、そこにフォーカスしていけるタイプなので、ビッグマッチがないと集中しづらくなります。
でも振り返ってみると、今回のように次の目標が見えなくなるほどの感覚は、初めてかもしれません。誰もやったことがないことに挑戦するとか、例えば今からサッカー選手に転向するとか(笑)。ただ、ラグビーというスポーツで挑戦することは、これからも変わらないことです。
今は何の重圧もないので、とにかく楽しもうと思っています。そしてまたプレッシャーが欲しくなったら、その機会を自分で掴みに行く。そうやって、40歳まで現役選手としてラグビーを続けていけたらと思っています。
たむら・ゆう◎1989年生まれ、愛知県出身。大学卒業後、NECグリーンロケッツ入団。12年、初日本代表選出。17年よりキヤノンイーグルスに所属。