週休3日だけじゃない。日本マイクロソフトが示す新時代の働き方

日本マイクロソフト 業務執行役員、コーポレートコミュニケーション本部長、岡部一志


長時間労働を防ぐ施策だけではなく、短い労働時間で生産性を高めるため、社員各自の状況に合わせた働く環境や制度も整備した。社員各自の業務状況や生活状況を含め、各自が最大限のポテンシャルを発揮できる環境を本人が選択できるように整えたという。

オフィスは一部を除いてフリーアドレスへと変更、リモートワークを行いやすい環境やカルチャーを醸成し社員がポテンシャルを最大限発揮できるようにした。

この夏のチャレンジでは、週勤4日で就業日が1日減った分、さらに業務効率を高められる機会として会議に着目し、会議設定は基本30分で、参加人数は多くても5人で実施することを社員に呼び掛けた。働く時間を選び、自ら休んだり学んだりする時間を選択することが「よく休み、よく学ぶ」につながるのだ。

こうした職場環境から、沖縄へ移住した社員もいれば、毎月1週間は親の介護のため実家へ戻りリモートワークで働く社員など、昨今問題となっている介護離職しなくてもよい制度が整っている。

ただ、今夏、試験的に導入した週勤4日&週休3日制を、今後も続ける予定は、いまのところないという。「週休2日制に戻しても、週休3日制での働き方を活かして踏襲すれば、さらに労働生産性は高くなると考えています」と岡部はその理由を語る。

メンタルヘルスケアへも対応

現在の日本企業の問題点は、労働生産性の低さの他に、長時間労働に伴うメンタルヘルスへの影響だ。メンタルヘルスを含め社員の健康管理は、企業にとって欠かせない。2015年からは、社員数50名以上の事業所には「ストレスチェック制度」が義務付けられた。

「毎月、上司に部下の労働時間に関するレポートが届く仕組みになっています。労働時間が多いとみなされた社員は、上司と労働時間を減らすプランを作成し、担当役員にも共有されます。メンタルヘルスへの影響が心配される社員は、産業医とのセッションを受けることもあります」

前出の岡部は、日本マイクロソフトのメンタルヘルスケアへの対応について、このように語った。

グーグルやモルガン・スタンレーなど欧米の大手企業がこぞって取り組んでいるマインドフルネスのワークショップなども社員向けに開催している。マインドフルネスとは、今この瞬間に判断を加えず、呼吸や体の感覚、音、思考などに意識を向けることで、代表的な方法にはマインドフルネス瞑想がある。このトレーニングを積むことで、ストレスの低下や創造性が向上すると言われている。

メンタルヘルス以外の健康管理についても抜かりはない。たとえば、健康診断の結果に基づき、メディカルルームと社員食堂が連携し、メタボリックシンドローム対策のメニューを提供したり、外部から講師を招き、健康促進に向けたプログラムが複数用意されていたりする。

「24時間働けますか?」の時代はもう終わった。高い労働生産性で、これまでより短い時間働き、残りの時間で人との付き合いや運動、余暇を楽しむ。日本マイクロソフトの「働き方改革」を見れば、確実にパラダイムシフトは起きつつあるのかもしれない。

文、写真=本多カツヒロ

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