最近になって起業したスモールビジネスでは、オンライン限定、あるいは製品の大半をオンラインで売る会社が過半数に達していることが、フォーブスの調査でも判明している。
これは、世界で26兆ドル(約2829兆円)のカネが動く小売業界の仕組みに起きたパラダイムシフトだ。そして、この変化を牽引する複数の企業が、好機に乗じて多額の利益を手にしようとしている。
最近まで「労力に見合わないビジネス」だったオンライン小売業
ここまでの話だと良いことばかりのように聞こえるが、オンライン直販は、いざ運営するとなると簡単にはいかない。
まずはウェブサイトを構築し、サイトを掲載するサーバーを借りる必要がある。さらに、商品代金を回収する業務もある。こうしたさまざまな業務を、セキュリティに配慮し、法令や規則を順守しながら、こなしていかなければならない。
標準的なオンラインストアでも、サイト構築には5万ドルもの費用がかかることがある。しかも、サイトを立ち上げればそれで終わりというわけではない。
販売が始まれば、商品の発送や返品の受理など、多数の業務が発生する。挙げていくとキリがないが、要するに、オンライン直販はかなりのコストがかかる事業なのだ。
ご存じのようにアマゾンでは、自社で直接販売する商品だけでなく、サードパーティーの商品も取り扱っている。そもそも少し前までは、スモールビジネスがオンライン販売を手がけるには、アマゾンと手を組む以外の方法がなかった。
しかし最近になって、このような状況は一変した。
「スモールビジネス界のアマゾン」とは
アマゾン以外のオンラインストアで商品を購入した場合、そのサイトがショッピファイ(Shopify)のシステムを用いている可能性はかなり高い。
2004年創業のショッピファイは、オンライン販売を行いたいと考えるスモールビジネスや家族経営の小さな店に向けて、「ウェブ店舗」を提供する企業だ。
自社のマーケットプレイスにサードパーティーの商品を並べるだけのアマゾンと異なり、ショッピファイでは、小売業者が自らの製品を「自らの」ウェブサイトで販売するための支援を行う。
ウェブサイトを見ただけではわからないが、ショッピファイの支援を受けているオンラインストアは数多い。
その仕組みを以下に説明しよう。
ショッピファイは、シンプルなツールを提供している。これを使えば、月額29ドルからというお手頃な価格で、誰でも自分だけのオンラインストアを構築できる。
さらに希望すれば、ショッピファイはストアの受注管理も代行してくれる。つまり、ショッピファイの倉庫に在庫を置き、そこから商品を発送することも可能ということだ。
ショップ側は、ソフトウェアやサーバーを自ら確保する必要はない。これまでは高い人件費を払ってプログラマーを雇うか、自分でプログラミングを手がけるかの二択だったが、その必要はなくなる。また、出荷の手間からも解放される。