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接客業である百貨店で、来店客に販売員の生理の状態を共有することは必要だろうか。ミチカケでの生理バッジの取り組みはすでに複数のメディアで報じられ、バッジの着用が強制だという誤解もあり、多くのバッシングに晒されている。

このような批判が起こることは、大丸梅田店も覚悟の上だった。ミチカケのオープンの前に漫画「生理ちゃん」の中で架空の「大春百貨店」の販売員が生理バッジを付けて接客を行うコラボストーリーが公開されている。漫画の中でもお客さんやネット上の声として様々な批判が描かれている。

このような批判が予想される中で、大丸梅田店が今回の取り組みを開始した狙いはどこにあるのか。ミチカケ担当者の佐藤さんはこう話す。

「これまで百貨店は美しさや格好良さといった表層的なニーズに寄り添ってきたが、深層の悩みには寄り添ってこられなかった。ミチカケの取り組みを通じて、お客様の内面にも寄り添っていきたい」

お客さんがミチカケの売り場を訪れるとき、普通の売り場とは違い、自身の性や生理の悩みについて考えることが多くなると思う。デリケートな悩みなので人に相談する機会も少なく、ましてや百貨店の店員に話そうと思う人は少ないはずだ。

そんなきっかけ作りのアイデアの一つとして生理バッジが実験的に導入された。

しかし、店員の生理をオープンにするのではなく、お客さんがリラックスできるお悩み相談カフェを設置したり、生理の悩みを匿名で書けるボードを用意したり、産婦人科医を招いて定期的にイベントを行なったりなど別の形で内面に寄り添う方法もありそうだ。

今後ミチカケとお客さんとの関係性が成熟し、内面的な悩みを相談できる場となった暁には、よりオープンなコミュニケーションが生まれるはずだ。

生理バッジは何をもたらすのか

今回の生理バッジの取り組みの是非について、私は現時点ではその評価はできないと思っている。なぜならば、まったく新しい取り組みであり、世の中に何をもたらすかは予測ができないからだ。今津店長が語ったように、新しいメッセージの発信によって世の中に議論が巻き起こっていることは確かである。

ただ、今回の生理バッジの取り組みをきっかけに、女性だけでなく男性も生理についてあらためて考えることができれば十分に価値があったと思う。

社会的には男女は平等であるべきだが、身体の作りが異なるということは純然たる事実。現代社会において、男女がお互いに尊重しあって働き、生活していくためにはお互いの違いを理解して、寄り添っていくことが不可欠であるからだ。ミチカケの今後の発展と進化を見守っていきたい。

文・写真=入澤諒

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