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世界が借金に溺れている。

国際金融協会(IIF)の調べによると、世界全体の債務残高は2019年4〜6月期に250兆9000億ドル(約2京7200兆円)と、過去最高に膨れ上がった。

IIFの報告書は次のように説明している。

「金融緩和に促進され、世界の債務残高は19年(の上半期)にさらに7兆5000億ドル増加し、足元でも過去最高となる250兆ドル超の水準で推移している」

つまり、タガが外れたような今の借り入れ状況は、米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)をはじめ、世界の主な中央銀行が金利を極端に低く抑えているのが一因となっている、ということだ。

そうした超低金利を背景とした借り入れで、世界の先頭に立っているのは中国と米国である。19年上半期に増えた7兆5000億ドルの債務のうち、60%強はこの2大経済大国のものが占めていた。

上半期の増加分は、世界全体の国内総生産(GDP)の3倍超に当たる。

IIFでグローバル政策イニシアティブ部門の次長を務めるエムレ・ティフティクが中心となって取りまとめたこの報告書によると、債務バブルは年末にかけてさらに膨らむ見通しだという。

「債務残高の増加ペースが鈍化する兆しはほとんど見られないため(中略)、われわれは世界の債務は年内に255兆ドルを超えると見積もっている」

来年は苦境に陥る国も

抱える債務が膨らんでくると、国は一段の借り入れが難しくなることもある。これは通常はさほど大きな問題にならないかもしれないが、来年は実際に厳しい事態に直面する国が出てくるかもしれない。

IIFによれば、20年には60%近くの国・地域が標準以下の成長にとどまる見通しだという。報告書では、より具体的にこう記している。

「政府債務の水準が高い国は(中略)、財政刺激策に頼るのが難しくなる可能性がある」

あからさまに言ってしまえば、イタリアやブラジル、ギリシャ、アルゼンチンといった国々は、景気停滞から抜け出すための支出ができなくなるかもしれない、ということだ。経済が低迷し、失業率が高い状況では、政府が財政出動によって景気を押し上げようとするのが普通なのに、その策すら取れなくなってしまうかもしれない。

気候変動対策にも支障

一方、債務の膨張は、世界経済の低炭素化に向けた取り組みにとっても障害となる恐れがある。そのせいで、気候変動を防止するのに必要な支出が削減されないからだ。IIFの報告書もこう指摘している。

「目標を達成するためには、政府と民間の気候関連支出を急速に増やしていかなくてはならない。この点は、債務比率が高く、気候変動にさらされるリスクも高い国々にとって、懸念材料になりつつある」

海面水位の上昇と債務水準の上昇の間で板挟みになる──。一部の国にはそんな事態が迫りつつあるのかもしれない。

編集=江戸伸禎

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