エル・ブランズの損失は、1年前の約4280万ドル(約46億5000万円)から約6倍に広がり、約2億5200万ドル(約270億円)となった。この原因は、英国や中国などの市場における一部のヴィクトリアズ・シークレット店舗・資産の評価損で、税引き前にしてなんと約2億8500万ドルだ。
また、11月2日までの四半期の全社売上は3.5%低下して約26億8000万ドルとなり、こちらもヴィクトリアズ・シークレットの需要低下の影響を受けた。
同ブランドの店舗訪問客数も少なくなり、米国とカナダで展開される1100店舗以上の既存店売上高は8%減っている。また、業績の低迷に悩む小売業者であっても少なくともネット販売は伸びていることが多いが、ヴィクトリアズ・シークレットの場合は電子商取引の売り上げも6%減っている。
栄光から一転
オハイオ州コロンバスを拠点とするエル・ブランズにとって、ヴィクトリアズ・シークレットはかつて利益を生む重要資産だった。それなのに、同ブランドは約1400万ドルの利益を出した1年前と違い、最近の四半期では約8100万ドルの営業損失を出している。
エル・ブランズによると、割引を減らす決断がブラジャーの売り上げに影響し、ヴィクトリアズ・シークレットの下着に対する需要は「2桁台前半の割合」で減少した。一方、大学生世代の若者消費者向け商品ライン「Pink(ピンク)」の売り上げは、Tシャツなどのトップスの需要低下により「1桁台中盤の割合」で減少した。
ただ、ピンク(Pink)のスポーツブラ、ブラレット(ワイヤのないソフトブラ)、パンティーは安定した成長を遂げている。とはいえ、こうした商品の売上増は宣伝の強化と、中核的な顧客がより手が出しやすいような敷居が低い低価格帯の商品を増やした結果だ。
同社は発表の中で「私たちにはやるべきことがもっとある。事業に改善が見られるようになるまで時間がかかることは認識している」と述べ、ヴィクトリアズ・シークレットとピンクの新たな経営陣らが「顧客に寄り添い、品ぞろえやマーケティングを改善することを非常に重視している」と補足した。
それでも、問題を理解していることとそれを解決すための正しい答えを考え出すことは別物だ。ヴィクトリアズ・シークレット店舗の多くが立地するショッピングモールから客足が遠のいていることや、顧客の予算の中でファッションに費やされる分が減り、代わりにレストランやその他の体験、テック機器が増えていることなどを考えるとなおさらだ。