「トラック界のテスラ」目指す30億ドル企業、ニコラCEOの野望

Photo courtesy of Nikola


2020年の公開デモで全てが明らかに

Miltonは、「我々は、これまで約束したことを守れなかったことはない。我々は他人が信じようと信じまいと気にしない」と述べ、他社による技術評価を開始することを明らかにした。

ニコラ・モーターは、2020年後半にフェニックスで開催する「ニコラ・ワールド・テクノロジー・サミット」で公開デモを実施する予定だ。Miltonによると、現在複数の自動車メーカーと交渉中で、このうち1社を主要パートナーとして選定する予定だという。

バッテリーパックの生産は、早ければ2021年に開始するという(同社は、既にボッシュやメリトール、ノルウェー企業のNel Hydrogenと燃料電池トラックの開発で提携している)。

ニコラ・モーターは、これまでに5億ドルを調達し、評価額は30億ドル(約3260億円)に達する。今後は、水素ステーションのネットワークを構築するために、さらに多額の資金を調達する必要がある。

燃料電池トラックはバッテリーパックも搭載しているため、バッテリー技術の進歩は航続距離の増加や生産コストの低減につながる。ニコラ・モーターは、長距離輸送用のセミトレーラーには水素が最も適していると考えているが、同社が提供している3種類の運転台にはバッテリーのみで駆動するバージョンも作る予定だ。このため、よりパワフルで安いバッテリーパックは大きなメリットをもたらす。

バッテリーの価格を大幅に引き下げ

現在、航続距離とパフォーマンスの面で最も効率的なバッテリーシステムを提供しているのはテスラだ。しかし、同社はパワートレインが高額なため、ホンダのシビックやトヨタのプリウスのような、2万ドル台の大衆車を開発することができていない。テスラ車で最も安いモデル3は、航続距離が250マイルの「スタンダードレンジプラス」が税込み価格4万690ドルとなっている。

MITが11月19日に発表した「Insights Into Future Mobility」によると、EVの価格は、バッテリーを搭載することによってガソリン車に比べて1万ドルほど高額になるという。

「バッテリーの価格は格段に安くなっているが、将来の価格下落予測については慎重に見極める必要がある。なぜならば、予測には原材料のコスト増を織り込んでいない場合が多いからだ」とレポートは述べている。レポートを執筆したMITの研究者グループは、リチウムイオンバッテリーの価格が2018年の水準の半額まで下落するのは、2030年後半になると予測している。

ニコラ・モーターは、テスラや他のメーカーが成しえなかったことをどうやって達成したのだろうか。

「彼らは、既存のバッテリーのデザイン改善に注力するなど、対策を誤っていた。我々は根本的に異なるアプローチをとり、金属を全て取り除く方法を考えた」とMiltonは話す。同社は、2020年後半までに技術を証明して見せる必要がある。

編集=上田裕資

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