ファーウェイが日本に及ぼす経済効果、4年で6倍に

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後半のパネル(オックスフォード・エコノミクスの長井氏、現代中国研究家 日本国際問題研究所客員研究員の津上俊哉氏、華為技術日本の渉外・広報本部 本部長 林嘯氏の3氏、モデレーターはMM総研代表取締役所長の関口和一氏)でも、津上氏は「取引禁止、ボイコットは関税より有害、経済を萎縮させる」「アメリカが孤立するのでは?」と述べた。

興味深いのは、米国が主導する“5Gからのファーウェイ排除”にスポットが当たりがちだが、世界を見るとそうでもないという津上氏が指摘する事実だ。米国を中心とした“ファイブ・アイズ”の1国で、米国と結びつきが強いイギリスですら、全面排除はしないという方針だ。「(米国に)したがっているのは、オーストラリア、日本、ひょっとしてポーランドぐらいでは」と津上氏。

津上氏はさらに、「エレクトロニクスはデバイスぐらいしか残っていない日本に、(ファーウェイとの)取引禁止やボイコットとなると、電子デバイス産業の息の根が止まる」とも。「米国にやめてくださいと陳情しても効果はないだろう。もう少し害のない方法を考えるべく、知恵を絞るしかない」と述べた。

好材料としては、「アメリカは間違えることもあるが、間違えたと気がつくと修正力は強い」こと。その時に日本が「梯子を外されて立ちつくすということにならないように、懐のある対応をすべき」と述べた。

なお、その米国は11月18日、ファーウェイに対する輸出規制の一部猶予措置を再度90日間延長することを発表している。5月に決定されたが、延長は8月に続いて2回目だ。

米国がファーウェイ排除の根拠とする「安全保障」は、有事の際にデータの開示などの中国政府の要請に従わなければならないという懸念が土台にある。

これについてファーウェイの林氏は、「ファーウェイは通信のチャネルでありパイプ(を通信事業者に供給する)であって、データは所有していない。データを漏らしたくても漏らすことはできない」と説明する。さらに、「ファーウェイの売り上げは年1000億ドル規模に達している。その我々が各国の法律に違反すること、ビジネスの常識に外れることをやった場合は破産する」とした。

ファーウェイは世界各国に対して排除を促す米国の動きに応じて、英国、そして欧州連合(EU)で同様の経済効果についてのレポートを発行済み。日本は3カ国目となった。

文・写真=末岡洋子

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