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別の研究では、「交通由来の大気汚染(TRAP:Traffic Related Air Pollution)にさらされる傾向が近年増していること」と、子どもたちのメンタルヘルスのあいだに関連性があることが明らかになった。

研究者たちは脳機能イメージング技術を利用し、TRAPと、脳における代謝異常、そして、全般性不安障害があることを除けば健康である子どもたちの症状、という3つのあいだにある関連性を解明した。

そして、脳機能イメージングの結果を分析したところ、こうした関連性が生まれる主な原因は、大気汚染がきっかけで起こる脳の炎症反応と見られることがわかった。

関連研究では、幼少期にTRAPにさらされたことが、12歳の子どもたちが自己申告した不安およびうつ症状に関係している点も明らかになっている。

この結果は自己申告によるものであるため、ほかの研究結果より信頼性は低い。それでもこの結果は、大気汚染が子どもたちのメンタルヘルスにどのように影響するかを総合的に評価する際に追加されるものになるだろう。

論文共著者のパトリック・ライアン博士は、「幼少期の早い段階で大気汚染にさらされることは、思春期におけるうつ症状や不安といったメンタルヘルス問題の一因となりうることを示す科学的エビデンスが増えてきている。こうした研究は集合的に、そうしたエビデンスの増加に寄与するものだ」と話す。

これまでの研究に追加されたこうした知見は、とりわけ不安をかき立てるものでもある。なぜなら、米政府は2019年8月、石油や天然ガスに対する大気汚染規制の緩和案を発表。何十年も前の大気浄化法で定めた規制へと後戻りしようとしているからだ。

こうした動きによって人間の健康全般にどのような影響が及ぶのかは、時間が経たなければわからない。しかし、これまでの研究で示されたエビデンスは、私たちが呼吸する大気中の毒素レベルが高くなれば、すでに困難な状況にあるメンタルヘルス問題が悪化しかねないことを示唆している。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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