動きながら考え、退路を断つ
──起業当初、今まで事業の経験がない中で、どのように事業を形作っていったのですか?
私は、動きながら考えることを重視しています。
一般的には、起業しようと思っても、現職を続けながらじっくり勉強して、貯金もして満を持してスタートする方が多いでしょう。
しかし、それでは物語がないなと思ったんです。
思い立ったが吉日ということで、インターネット分野未経験、経営もよくわからないままひとまず退職届を出しました。サービスを思いついた直後、突然の退職届に周囲は唖然としていましたね。
そこまで思い切った行動ができたのは、弁護士ドットコムという「弁護士をもっと身近にする」という新しいコンセプトのために24時間、365日を使った方が、事業として成長するに違いないと確信していたからです。
退職後は、まさに24時間、365日をかけて、寝食を忘れて経営や事業づくりについて学んでいきました。
最初は、書店で「会社のつくり方」、「事業計画のつくり方」、「インターネットビジネスのカラクリ」といった起業分野の本を何十冊も購入。読みふけりました。
また、起業家の半生が書かれた本もたくさん読みました。朝から晩まで、ずっと読書をしていたような日々です。
これだ!と思ったら飛び込む勇気
3カ月ほど独学をしている中で、「事業計画を立てる予備校はないのだろうか」とふと思い立ち、調べてみました。
その中で、大前研一さんの「アタッカーズ・ビジネススクール」で起業について学び、事業計画を作成できる講座があることを知りました。
4カ月のプログラムで事業計画を作成し、コンテストで上位4名に入ると大前研一さんに直接プレゼンテーションを聞いてもらい、フィードバックをもらえる講座です。
マッキンゼーの日本支社長も勤めた大前さんが果たして自分の考えた事業アイデアをどう思うかが知りたいと考えました。
実際講座を受け、初めて事業計画を作る中で、多様なことを学びました。ここでの計画が今のサービスの礎になっています。
最終的には、コンテストで優勝することができ、大前さんの前でプレゼンテーションする機会をもらいました。
大前さんからは、「これはおもしろい。必ず時代がくる。頑張りたまえ」とおっしゃっていただきました。「やっぱりそうなんだ!」と自信を持つことができた瞬間でしたね。
本を読むといった学びも重要ですが、「これだ!」と思ったら飛び込む。学びにおいても、自分の心に素直に耳を傾けていくことが大切なのでしょう。
大前さんから激励コメントをいただいたのが2005年7月31日。その1カ月後である、8月31日には弁護士ドットコムのサービスをリリースしました。
連載:起業家たちの「頭の中」
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