経済・社会

2019.11.22 15:00

大統領選、「プライベート・エクイティ業界」に集まる厳しい視線


大統領選における乱闘的な政治駆け引きへの対処に関して、ベインキャピタルほど経験豊富なPE投資会社はほかにないだろう。1050億ドルを運用するベインキャピタルの共同創業者であるミット・ロムニーが立候補した2012年の大統領選では、ベインキャピタルに全米の厳しい目が向けられる結果となり、同社はバラク・オバマの選挙キャンペーンで「吸血鬼」と攻撃された。

皮肉なことに、パトリックはロムニーのあとを引き継いでマサチューセッツ州知事になった。そして今度は、大統領選に出馬しようとしている。だが、パトリックのベインキャピタルでの役職は、PEビジネスをめぐる新たな物語をPE業界が広めるのに役立つかもしれない。

パトリックはベイン在籍時に、ダブル・インパクト(Double Impact)部門を率いていた。同部門は3億9000万ドルの資金を運用するファンドだが、投資リターンを生み出す任務を負いながらも、持続可能性や、医療と健康、教育や労働力の開発にも寄与しており、「善のための影響力」と位置づけられていた。

トッド・クック(Todd Cook)と共同で同部門を率いたパトリックは、小規模な企業に対する11件の投資を主導した。例としては、在宅での高齢者介護サービスを提供するアローザ(Arosa)や、利益追求型の学校であるペン・フォスター(Penn Foster)などがある。

ダブル・インパクト部門はパトリックのもとで、インパクト・フィットネス(Impact Fitness)事業の売却により1件のイグジットを達成した。肥満率の高い低所得者居住地域で展開するフランチャイズ・ジムであるインパクト・フィットネスの売却により、ベインは、同社に投資した額の3.2倍の利益を得た。

パトリックは1年ほど前に、大統領選プロセスの「残酷さ」に触れ、当初は出馬を見送る決意をしていた。そのため、ベインを経営するPEマネージャーたちは、さらなる政治ドラマからは逃げおおせたと考えていたかもしれない。

だが、ここ数日のあいだに、パトリックは気が変わったことをベインの同僚たちに伝え、11月13日に同社を正式に辞職した。これにより、ベインとプライベート・エクイティは、またもや政治の泥のなかを引きずりまわされることになりそうだ。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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