テクノロジー

2019.11.22 18:00

高性能で低価格。アメリカで韓国車に乗って感じた危機感

キア・ソールEV

毎年11月のロサンゼルス・モーターショーに合わせて、ワールド・カー・アワードの合同試乗会を開催している。18カ国から50人の選考委員が参加するこの試乗会では、アメリカ、ドイツ、イギリス、韓国、日本、スウェーデン、イタリアの最新のモデルが試乗できる。

今年はワールド・カー・アワードの候補車22台が集まったけど、日本に住んでいる僕にとって、いちばん興味深い車両は、何と言っても韓国車だった。今回の試乗会では話題の韓国車が3台あったので、その感想をお伝えしよう。

まず、目立ったのはキア・ソールEVという電動車。航続距離が390kmもあるというこの車は、急速充電なら35分で80%のフル充電ができる。ギアシフトは、シフト・バイ・ワイヤだし、回生ブレーキの機能で3つのモードがついている。つまり、日産リーフのような「eペダル」と同様に、アクセルを緩めるだけで減速できるわけだ。

このクルマの駆動用バッテリーの容量は64kWhであり、1速のトランスミッションで前輪に201馬力を発揮するので、かなりパワフル。加速性は瞬間的で、0-100km/hの加速は、7.6秒と結構速い。

キア・ソールEVの内装
キア・ソールEVの運転席まわり

でも、何よりも感動したのは、このコンパクトでボクシーなEVのパワーとハンドリングだ。加速性は気持ちが良くて十二分だと言える。この車高の高いクロスオーバーのステアリングはちょうど良い手応えだし、ワインディングロードでもコーナーを走れば走るほど楽しくなる。EVでありながら、普通のクルマのように走るだけに、出だしがメチャ速い。

気になる点といえば、外観だろうか。四角い仕上がりで新鮮味はあるけど、美しいとは言えない。他メーカーにも言えることだが、格好いい電気自動車を作るのは、なぜそんなに難しいのだろう?

しかし、ソールEVを走らせてみると、辛口な人でもその加速性と走りは間違いなくクラストップだと評価するはずだ。また、航続距離は400km弱で「電欠」の恐れもない。ロサンゼルス・モーターショーで見た日産リーフの最新版が363kmだというから、現時点でそれを上回っている。
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文=ピーター・ライオン

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