高性能で低価格。アメリカで韓国車に乗って感じた危機感

キア・ソールEV


その次に感心したのは、兄弟車のキア・テルライドとヒュンダイ・パリセードの大型SUVだ。この2台は、同じプラットフォームを採用していて、同じV6エンジンと8速A/Tの組み合わせになっている。トヨタのアルファードとヴェルファイアみたいな関係が一番近いのかな。

キアの方は高級感があるけど、実はどちらも完成度が非常に高くて、走りも乗り心地も抜群だ。外観と室内のデザインとトリムはアメリカ人のテイストに思い切り合わせている。

キア・テルライドとヒュンダイ・パリセードの大型SUV
兄弟車のキア・テルライド(右)とヒュンダイ・パリセード(左)

いずれも、レクサスLX570やレンジローバーの乗り心地、静粛性、室内の完成度に、かなり安い価格で限りなく近づいていると言える。参考までに価格は、テルライドが4万5000ドル(約490万円)に対し、レクサスは800万円以上だ。

291馬力の6気筒が本当に力持ちで、パワーに不足があるとは一度も感じなかった。ハンドリングは正確かつ素直で、しかも乗り心地や高級感も抜群。日本で乗れないのは、本当に残念だと思った。

これらの韓国車を可能にしているのは、以下の3つの要素だ。1つめは韓国の技術レベルとコストパフォーマンスの高さ。3つめは、元アウディのデザイン・トップだったピーター・シュレイヤによる優れたデザイン。3つめは、元BMWのMディビジョンのチーフ・エンジニアだったアルバート・ビアマンによる絶妙なサスペンションのセッティング。

今回ロサンゼルスで乗った3台から感じたのは、デザインと内装の良さ、走りや乗り心地の凄さ、完成度の高さ、しかもコストパフォーマンスに優れているところで、実に驚いた。日本にいると、これら韓国車の存在がはっきりわからないが、欧米では日本車の市場シェアを少しずつ奪っている。日本のカーメーカーも、もう無視はできないだろう。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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