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最先端の経済誌「Forbes JAPAN」の記事紹介




収監の恐怖から救われたフレームは、ネットワーク系スタートアップ企業で2年間働き、2004年にインターネット無料通話が可能なハードウェアを提供する「オーマ」を立ち上げた。

この頃、フレームはナップスターの共同創業者ショーン・ファニングとつるむようになり、そのつながりで、フェイスブックの共同創業者であるマーク・ザッカーバーグやファニングとともにナップスターを創業したショーン・パーカーとも親密になった。そして、創業したばかりのフェイスブックで非公式ながらネットワークの基本構造構築を手伝い、報酬としてフェイスブック株を入手。この株が、その後の彼の人生を一変させることになった。

オーマは苦戦した。すでにスカイプをはじめ数々の企業が、特別なハードウェアを使うことなくウェブ上の無料通話サービスを提供し始めていた時代である。縮小する固定電話市場でAT&Tやベライゾンといった巨大企業と戦ったが、09年には完全に消耗し、力尽きた。フレームはCEOを辞任。ロスに飛び、ハリウッドのプロデューサーによる6カ月集中映画プログラムに参加し、脚本を書いた。

「完全に足を洗ったつもりでした」

ひらめきを形にしたサービス

だがフレームは、スマホの普及とネットワークの潜在能力に魅了され、業界に戻ってきた。そして、数人のエンジニアを採用して30万ドルを投じ、有望なアイデアを探し出すインキュベーター「SP0N」を立ち上げた。

シティズンのアイデアがひらめいたのは15年、オフィスを置いていたローワー・マンハッタンのアパートを裏側から眺めていたときだった。

──若い女性が1人で薄暗いニューヨークの街を歩いている。後ろから男が近づいてくることに気づいた女性は警察に通報する。緊急無線で出動する警察。だが、警察署は何マイルも離れている。そのとき、現場周辺の携帯電話が一斉に起動し、襲撃事件の発生を知らせるアラートが表示される。周辺住民が現場に駆けつけると、男はまさに被害者を歩道に押し倒そうとしていた。男にiPhoneを向け、動画を撮影し始める住民たち。男はやがて住民たちに囲まれ、警官に引き渡される──。

これはフレームが新会社を世界に紹介する動画のために書いた脚本だ。ワイヤレスコール、Wi─Fi、警察無線……。目に見えない現代のシグナルがビルを貫いていくイメージが頭をよぎった。緊急通報をスマホでキャッチできたらどうなるだろうか。フレームがオフィスに駆け込んでアイデアを伝えると、エンジニアは、1週間もしないうちにプロトタイプを完成させた。会社は「ビジランテ(自警団)」と名付けられた。

文=スティーブン・ベルトーニ 写真=ジャメル・トッピン 翻訳=松永宏昭 編集=森裕子

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