私はWomen’s Startup Labでアドバイザーもしていますが、私たちがブリッツスケールについての本を書いた理由のひとつは、このアプローチがもつ力をいろいろな人に知ってほしかったからです。ブリッツスケールは攻撃的なアプローチで、実際、過去には攻撃的な性格の人たちが行ってきました。仕事において男性のほうがより攻撃的な姿勢をとりがちといった調査結果は多くあります。しかし、女性を含めた多様な人々にとって、個人の性格とは関係なくブリッツスケールは科学的裏付けのあるテクニックであり、うまく採用することで市場をリードして力強く成功することができるのです。
4つの成長要素
1 Market Size
市場規模 スタートアップの基礎中の基礎ではあるが、ビジネスモデルが適用できる大きな市場があることは成長の要。潜在的な顧客と、その顧客にリーチできる多様で効果的なチャネルをもつことも重要。
2 Distribution
流通経路 ブリッツスケールにおいては、競合より早くシェアを取ることが非常に重要になる。その際、十分な市場があっても、そこに至るルートが必須。多くのスタートア ップがこれを軽視しがちである。
3 High Gross Margins
高い利益率 売り上げから製品コストを引いた数字。これも多くのスタートアップが軽視しがちだが、急速な事業拡大への資金のためにもキャッシュは重要。その点、ソフトウェアは比較的高い利益率を確保できる。
4 Network Effect
ネットワーク効果 ユーザーの増加によりネットワークの価値が上がり従来のユーザーにも恩恵がもたらされること。市場のトップに立つには指数関数的な成長カーブが必要であり、ユーザーの爆発的増加は鍵。
2つの制限要素
1 Lack of Product/Market Fit
製品・市場適性の欠如 先を見据えた指標を見つけることが大切。大きな機会は、見通しのきかない市場の変化のときにある。既存のプレイヤーが避けがちで、適合しにくい市場機会を発見することが求められる。
2 Operational Scalability
オペレーションの拡大可能性 事業の成長とそれを支えるオペレーションは両輪であり、社員名簿や給与支払いとの格闘も同等に重要。賢明な起業家は成長とオペレーションを同時にデザインしている。
クリス・イェ◎起業家、投資家、講演家。スタンフォード大学卒。ハーバードビジネススクールMBA。ホフマンとの共著に『ALLIANCE 人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』(ダイヤモンド社刊)がある。