人間は、自分の古いこだわりや価値観を見直すことで成長するきっかけとなることが多い。若いころからこうした価値観の総括と客観視を繰り返す能力を育てる。それが経営者マインド育成において非常に重要である。
自分の職場で「あたりまえ」とされているやり方を、客観視点・合理的視点で見直す。その視点で自分の能力や価値観を総括し、自分に何が足りないのかを確認する。こういった訓練を若いころから繰り返す環境をあえて創ることが、経営人材育成において不可欠だ。
この訓練を通じて初めて、企業固有の価値を見い出し強化しながら、同時にそれを時代の変化に合わせて変換していくスキルの両得が可能になる。
これを実践する上で最大のボトルネックは、上司の心構えである。既存のやり方への疑問やチャレンジが若手から出てきた時、大きな度量を持ってそれに応えられるか、彼らの突き上げに耐えられる論理性を身に着けているか。
環境変化が激しく経営難度が高まってくる未来に向け、企業には若手層からの逆流型の進化が不可欠になる。こういった次世代を担う若手人材があえて現業から離れ客観的に思考する場を持ち、外部の視点も入れて企業の未来のあるべき姿を議論する、若手による疑似取締役会のような取り組みが有効かもしれない。
連載:企業経営とイノベーション
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