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2019.12.02

ビッグデータ時代を予測した、ある男の野心。データを「BigTech」から取り戻す

「他人ができないことにこだわりすぎましたね、技術者として」

そう言って苦笑いするのは、オーリック・システムズのトップ、幾留浩一郎だ。渡米して手掛けた仕事で高い技術が評価され、やがて1997年にアメリカ・カリフォルニアで設立したAuriQ Systems, Incを母体とし、大規模Webシステムのアクセスログを解析する技術を提供している。

わかりやすく言えば、Google Analyticsが登場するよりも、ずっと前に同機能を持ったサービスを開発していたのだ。

アクセスログからは、ユーザーがウェブサイトでどのページを参照し、どれくらいの時間、コンテンツに触れたといったデータを得られるため、現在のウェブマーケティングには必須の情報だ。

しかし、近年ではその情報の量が激増、マーケティング担当者は大量のデータを解析することに苦心している。その課題を解消出来るソリューションを提供するのがオーリックだ。彼らは、まるで魔法のようなサービスを世に送り出している。

データは黄金、という事実に誰より早く気づいた男


ちなみに社名の「AuriQ」とはラテン語で「黄金」を意味する。幾留は、インターネット黎明期の1990年代初頭という早い時期から情報が価値を持つことに注目していた。そんな彼が、インターネットそして通信インフラの発展とともに、持つ力を発揮してきたヒストリーが実に面白い。

「ベンチャーとして会社を設立した当初から、データを価値に変えていくことで社会に貢献したいという思いがありました。インターネットの原型を研究開発した、アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)によるワールドワイドウェブの目論見書に書かれていたのは、世界中のコンピューターが繋がるという概念でした。

そして90年代にはその概念が実現しはじめます。そのときに私が考えていたのがデータの重要性、インターネットの基盤としてデータをハンドリングするビジネスとして必要とされ、生まれてくるだろうということでした」



83年から新日鉄の社員として働いていた幾留は、88年にアメリカへ渡る。Caltech(カリフォルニア工科大学)へ2年間の留学のチャンスを貰ったのだ。その後IT投資を本格化した会社の命を受けて米国のソフトウエア企業との共同開発プロジェクトなど担当する。

初期のクライアントは、NASA、そしてFBI


当時のアメリカでは、大型汎用機(メインフレーム)で処理していた情報管理を小型コンピューター主体の分散システムに切り替えようという、ダウンサイジングの動きが始まっていた。

いまでは常識だがシステムというものは開発して動けば完成、というものではない。ありとあらゆる可能性を網羅し入念なテストを繰り返し行う必要がある。分散システムのテストはメインフレームよりも格段に難しくなるのだが、まだ当時はその認識がなくそのための方法論やツールもなかった。

そのため、アメリカの運転免許証のシステムなど、ダウンサイズしたシステムの多くが実際の運用に耐えきれず、ダウンすることが多発していた。

「当時はアメリカを中心に分散型システムへの移行がはじまったばかり。まだテストの重要性が認識されておらず、当然テストのためのデータを作るというノウハウも共有されていませんでした」

幾留は、複雑なビジネスルールに基づいて架空のデータとトランザクションを自在に作るツールを自ら開発していた。技術者同士のクチコミで、そのツールと幾留の存在を知った、かの「NASA」が、ツールを使いたいと申し出た。

コンサルタントとして幾留はNASAに関わっていたのだが、今度は大規模なシステムを開発していたFBIからも同様の引き合いがくる。技術者間のクチコミで、優秀な技術者である幾留の評判はますます高まる。やがて幾留は会社を離れ、自身の技術で勝負するために起業を決意した。

幾留が着目していたのはインターネット上を流れるデータの価値だった。企業が開設したウェブサイトを訪問するユーザーがどのような行動を取るのか、それを分析することで訪問するユーザーに対してレコメンデーションを行う。いまとなっては当たり前のことだが、幾留はその技術が成長する最前線にいた。

3G、アナリティクスの登場。幾留に、風が吹いた


「サイトを訪れたユーザーにこんなことができます、集めたデータにはこんな価値がありますと、データを収集できる点を売りに提案していたのですが、まず、ログを分析してソフトの価値を理解してもらう必要がありました。ですが、結果的にはログを高速で解析してリアルタイムで可視化するツールのほうが欲しいと言われてしまったんですよね(笑)」

RTmetricsという名前でパッケージにし、販売を開始したところ、日本の大きな商社から販売代理店になりたいというオファーがあった。サポートのために日本支社を立ち上げ、幾留の視線はより日本を向くようになる。そして2005年、ひとつの転機が訪れた。3Gの普及により日本のガラケーでのウェブサイトへのアクセスが爆発的に増えたのだ。この年、Google Analyticsがサービスを開始し、ビジネスサイドでのアクセス解析の理解が高まったことも、幾留のビジネスを後押しした。

「私達の技術では通信経路でのアクセスを解析するので、タグを埋め込む必要のあるGoogle Analyticsとは異なる強みがあります。携帯からのアクセスも見れるようになったと非常に喜ばれ、採用する企業も増えました。またディズニーやESPNというクライアントからは1日に10億件以上のトランザクションをすべて通信経路で分析したいという要望がありましたね」



大量のデータ分析は、かねてよりアメリカの国防や行政のシステム開発を手掛けてきたAuriQが最も得意とするところだ。大手IT企業でもできないと断られたという要望を、幾留はデモを用意してあっさり分析してみせディズニーにも採用された。そして、このビッグデータ解析は、今後の時代の鍵となる。

数百億件のログに隠された「黄金」を民主化する


2020年の春にサービス開始が予想されている5G。現在の4Gと比べて通信速度は20倍に。高速で大容量の回線を経由し、IoTはますます加速、人の営みがネットワークに吸い上げられていく。データが増えるだけでなく、自動運転や渋滞予測、遠隔医療というジャンルにおいて、リアルタイムでAIを通したサービスの発展が期待されている。

「ビッグデータの現在の規模は、ログは数百億レコード。数億件であればマーケティング担当者でも処理できたけれど、数百億となるともはや担当者の努力では、捌ききれないレベルです。これからは、GoogleやFacebookといったプラットフォームにデータを献上するのではなく、主体的にデータを活用できる仕組みを作ったほうがいい」

AuriQではすでに百億件のデータセットでも、秒単位で解析し、EXCELを操作するような分かりやすさの「PivotBillions」、大量の複雑なデータを並列分散で高速に読み込み、ほしい形式に自在にアウトプットできる「essentia」というソフトウエアを製品化している。

これらのツールを使えば、マーケティング担当者がIT部門の手を借りることなく、いつでも自分自身でリアルタイムなユーザーの動きを知ることができる。例えば、
各部門がそれぞれ保持している顧客とのコミュニケーション履歴やサイトへのアクセス履歴を統合・名寄せし、顧客プロファイルを作成しよう、今朝から実施しているプロモーションへの顧客の反応が思わしくないから、事前に用意しておいたBプランへ切り替えよう、といったビッグデータ解析に基づく施策の検討、実施時の的確な判断が可能となる。そして、幾留が睨むのはさらにその先だ。

「こういうことをやったら面白いんじゃないかな、そう思ってもらえる一例になればとデータ解析を中心に新しいソフトウエアを開発してきました。しかし、タイミングをおさえて、ビジネスを大きくしていくことも重要です。

日本の産業別資産規模では、ITがダントツトップの100兆円です。しかし日本のソフトウエアはゲーム以外、世界でまったく売れていません。時代の主役はすでに完全にソフトウエアです。日本発の世界的ソフトウエアをプロモートしたいと考えています」

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