「どう感じた?」「何が印象に残った?」と尋ねることで、相手のBE(Feel)を知る
石川氏:そうそう。スーザン・ボイルが発掘されたことでも有名だけど、「アメリカズ・ゴッド・タレント」っていう有名なアメリカの番組では、出演者がパフォームした後に審査員がまず聞くのは「How do you feel?」なんだよね。「How do you think?」とは聞かないんだよ。
塩田氏:なるほど。普通のビジネスパーソンって、出た成果や失敗を、分析して終わることが多いと思うけど、それってThinkで、因果の話だけで終わってしまうから、ひとつもFeelの要素がないんだね。「How do you feel?」とは聞かないもんね。
石川氏:そうそう。でも「How do you feel?」って、日本のビジネスシーンだと何て言えばいいのかな。
塩田氏:「どう感じた?」でいいんじゃないかな、シンプルに。アカツキであれば、ゲームの開発に成功したメンバーに声がけするときに、「成功したね!今どう感じてる?」って聞けたら、Think(DO)に進んでしまわずに、Feel(BE)するスイッチが入るのかもしれない。
石川氏:「どう感じた?」はいいね。それ以外だったら「何が印象に残った?」もいいと思うかな。結局、心でズシンと感じたことが印象に残るしね。
Feelと向き合うためには、言葉が必要
塩田氏:そうだよね。なんかさ、アカツキっていい組織だなとしみじみ思ったんだけど(笑)。というのも、そういう問いかけが組織の中でできてるから。でも、意識しないとやっぱりThink(DO)に寄ってしまうからこそ、「みんなでBEする」を大切にしてるんだと思う。
石川氏:なるほどねー! 俺もアカツキ入りたくなってきた(笑)こうして話してみて、あらためて気づいたのは、このサイクルをひとりきりで回せるかどうかが重要そうということ。自分の感情と向き合う、つまり「ひとりでBEする」って難しいから。
感情と向き合うには言葉を知ってないといけない。例えば、「侘び寂び」っていう言葉を知っているから、石の上にむす苔を見て、侘びや寂びを感じるわけだよね。
言葉が、世界の解像度を高めてくれることもあるし、低めることもある。だからこそ、直感や感覚のFeel要素を高めるためには、言葉を知らないといけないと思う。
塩田氏:今、ハートドリブンの読者向けにワークシートを作ってるんだけど、その中のひとつが、「自分の感情をいくつ言葉で出せるか」なんだよね。幸せとか嬉しいとか、喜怒哀楽しか案外出せなかったりするけど、感情にまつわる言葉って、本当にたくさんある。たくさん知っているだけで表現の認知が広がるからね。今、善樹くんの言葉を聞いて改めて、納得した。
経営者の仕事って、言葉作りだって教えてくれた人がいるんだけど、そういうことなのかもしれないなとも、今思ったな。
石川氏:ハートドリブンは、新しい言葉だよね。
塩田氏:言葉が生まれることで認知につながって、人の行動が広がっていくよね。「ひとりでBEする」ことから始まって、ひとりでDOすることも、みんなでDOして、みんなでBEする。そして再びひとりでBEする。
そんなサイクルを回していくことが、「ハートドリブンすること」として、たくさんの人の行動につながっていけば嬉しいなと思うよ。