「ハートドリブン」はクリエイティビティを圧倒的に高めるための処方箋だ

(左)アカツキCEOの塩田元規氏 (右)予防医学博士の石川善樹氏


論理と直感だけではなく、大局観を鍛えることが重要

石川氏:ちなみに、直感と大局観・論理の中で、鍛えるのが一番難しいのは、FeelingとThinkingを行き来する大局観。別の言葉で言えば、直感はビッグピクチャーで論理はディテールだから、大局観というのは、ディテールとビッグピクチャーをどれだけ往復できるのかということ。



研究者のトレーニングって、論理を鍛えた後に直感を鍛えて、最後に大局観に行くっていう方法なんだよね。この3つのモードをうまく切り替えられるようになった途端、飛躍的にアイデアをたくさん出せるようになったというのが、僕の30代半ば頃の実体験。

それから、自分の体験を通じて気づいたのが「みんなでDOしている」時に、論理的になるということ。実は、みんなで集まると論理的になりやすいんだよね。

塩田氏:相手に説明しないといけないっていうような概念があるからかな。共通理解を深めるためには、論理が必要だからかもしれないね。



石川氏:そうだね。よくブレストでアイデアを出そうとする人たちは多いけど、ブレストでアイデアが出ることは、まぁないよね(笑)。アイデアの精査はできるけど、本当にアイデアをたくさん出したいのならば、ひとりでやった方がいい。

ひとりがなぜ大事かっていうと、そこでアイデアが出るから。直感なんだよね。「ひとりでBEする」ことが大元だから、物事はここから始めた方がいい。そして、「みんなでBEする」に切り替えていく時に重要になるのが、さっきから話している大局観。

大局観を持てないと、論理と直感の間を行き来できない。つまり、「ThinkとFeel」「ディテールとビッグピクチャー」「DOとBE」をつなぐのが大局観だから。ちなみに、最近、アートシンキングっていう言葉もよく聞くけれど、あれは直感の話で、大局観の話って案外ないんだよね。

塩田氏:成功事例があってそれを真似ればよかった時代は、論理だよね。みんなでとにかく、大きく・速く進めていけばよかった。でも、今は違うもんね。

石川氏:インターネットが出てきた時のように、大きな時代の波がある時はまさにそう。でも今は違って、時代の波もないし、マーケットも成熟している時は、「ひとりでBEする」ことから始めた方がいいんだよね。



塩田氏:本当にその通りだと思う。このサイクルを回し続けることが重要なんだと思う。会社経営もそうだし、人生もそうだよね。

「みんなで感じる」を大事にしていることが、アカツキの特徴

石川氏:僕が「well-being」と言っているのは、実は、僕が放っておくとDOINGしてしまう人だからなんだよね。何より僕が研究したいのは、この4つの象限を回しながら生きて行くサイクル、「Good Life」について。でも、Good Lifeってつまりは、ハートドリブンのことなんだよね。元ちゃん(塩田氏)と同じこと言ってるんだよ。
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構成=伊勢真穂 写真=小田駿一

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