これを機に、法的な位置づけがあいまいなCBD製品についてのルールづくりが進めば、市場の拡大に一段と弾みがつきそうだ。
CBDはストレス軽減などの効果があるとされ、食品・飲料業界などで注目されている。添加したグミやジュースなどのほか、オイルやローションも既に市販されており、「アリゾナ・アイスティー」や「ベン&ジェリーズ」といったブランドもCBD入りの商品の投入を計画している。
米国では複数の州がCBDの規制法を成立させた一方、連邦政府は基本的に放置した状態だった。2018年の改正農業法でヘンプとそれに由来する製品は規制薬物から除外されたとはいえ、CBDについては依然として法的にあいまいさが残る形になっている。
こうした中、農業省は10月末、国内のヘンプ生産について、CBDに関する規則を含む規制の暫定的な最終案を連邦広報に掲載した。これはCBD市場にとって、農業法以降で最も大きな変化の始まりになりそうだ。禁酒法の廃止になぞらえてもいいくらいかもしれない。
連邦政府がやっと、全米規模のCBD市場の整備に役立つ基準づくりに着手したということだからだ。それによってCBDはいよいよ片隅から中心に躍り出て、商品の安全性や品質の一定性も高まると期待される。
ここへ来て連邦政府が重い腰を上げた背景には、CBD市場の拡大がある。米国では今年、CBD関連商品の売り上げが130億ドル(約1兆4000億円)に達する見通し。つまり、CBDはもはや無視できないほど存在感を高めており、信頼できる情報や一律の規制がなければ混乱がさらに増えていくのは避けられない。
連邦政府も遅ればせながら、必要な仕組みを引っさげて、シーン(パーティーとは言わない方がよいか)に登場したというわけだ。
農業省の規制には、連邦政府によるヘンプ農家への支援に関する規定などが盛り込まれる見込みだ。農家は保険やローンを利用しやすくなり、融資の拡大や生産量の増大につながりそうだ。一方で厳しい規定もあり、消費者側にとってはメリットがあるだろうが、メーカー側にとってはコスト負担が増えるとみられる。
例えば、栽培したヘンプについては、収穫の15日前までに麻薬取締局(DEA)認定の研究機関にサンプルを送り、認証を受けなくてはならないとされている。