未来食を科学診断。「3Dプリンターで料理」の30年後は来るか

人工的食品、青いスパゲッティ(写真=Forbes Israel)

地球上の食料がすべて尽き果ててしまったら、私たちは何を食べればいいのだろうか? 

専門家によれば、2050年からは食物としての肉が減り、昆虫が増えるという。われわれの多くが、ベジタリアンまたはヴィーガンに転向せざるを得なくなる可能性もあるらしい。

だが、悪い知らせばかりではない。

NASAが研究してきた宇宙食にインスピレーションを受けた「スーパーフード・バー」、3Dプリンターで1人1人にカスタマイズされた料理──。未来の食にはさまざまな可能性があるようなのだから。

今から30年後、私たちはまだ家族や友人と食卓を囲み、今と同じ光景や匂いを楽しんでいるだろうか、それともまったく違う何かを予期するべきだろうか? 

人口過密と資源の枯渇は、私たちの食を否応なしに大きく変えていくには違いない。たとえば「ヴィーガン」も、現在のマイノリティー的なライフスタイルから転じて、先行き不透明な未来における「当然の選択」になる可能性があるかもしれない。

高まる「遺伝子操作」への依存

たとえば近い将来、「西側諸国」にはまだ十分に行き渡る食料があっても、世界的にはどうか。

農業と経済の現実を見ると、より多くの人々がベジタリアンまたはヴィーガンに転向せざるを得なくなる、と専門家は言う。「家畜の飼育にかかるコストが上がるつれ、私たちが食べる牛肉の量は減り、魚の量が増えていくでしょう」と語るのは、イスラエルのベイト・ダガンにある農業研究庁ヴォルカニ・センターのシーナン・ハーパズ教授だ。

教授は、世界中で増え続けるだろう「飢える人々」への対応努力の過程で、遺伝子操作への依存が高まり続けると予測する。穀物の害虫やウイルスへの耐性は、人の手によってますます「鍛えられる」だろう。ハーパズ教授は、食物の「機能」が重視される未来を予見している。

ヒトゲノムの研究が可能にする「究極のカスタマイズ食」


「食料は高価になるが、カスタマイズ可能にもなる」──ヨラム・カプルニク教授

「機能性食品」は、自然界にある同等な食品と同様、健康志向の消費者に付加価値(たとえば魚に豊富に含まれる「オメガ3脂肪酸」)を提供するように「デザイン」される。

これはバイオテクノロジーによってだけではなく、食生活の傾向の変化によっても実現される。ヴォルカニ・センターの所長、ヨラム・カプルニク教授はこう言う。「家畜が食べる『餌』に注目が集まるでしょう。それは、結局、さらにそれを食べる私たちの体に反映されるのですから」
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文=アヴィ・ゲルツマン 翻訳=松本裕/トランネット 編集=石井節子 写真=Forbes Israel提供

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