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2019.11.23

新ビリオネアの誕生相次ぐ「中国経済」のパワーの源流

Photo by William Potter / Shutterstock.com

フォーブスが11月7日に発表した「中国の富豪ランキング」で今年、目立った勢いを見せたのが、好調な個人消費に後押しされ業績を伸ばした企業の創業者たちだった。

ANTAのブランド名で知られるスポーツ衣料の「アンタスポーツ(安踏体育)」の株価はここ1年で2倍以上になり、同社を率いるビリオネア兄弟のDing ShizhongとDing Shijiaらの資産はそれぞれ56億ドル(約6010億円)と55億ドルとされた。

今年5月に米ナスダック市場でIPOを果たした、中国版スターバックスの異名をとる「ラッキンコーヒー(瑞幸珈琲)」からは、会長のCharles Luに続いて女性CEOのJenny Zhiya Qian(銭治亜)がビリオネアの仲間入りを果たした。

「中国は、個人消費の伸びの点で、世界でベストな国と言える」と資産運用会社Matthews Asiaの投資ストラテジストAndy Rothmanは述べている。中国のGDP成長率は近年、下落傾向にあるものの、長期的視野では回復が見込める。

背景には世帯あたりの貯蓄率の高さがあげられるとRothmanは指摘する。彼のニュースレターSinologyによると、米国世帯の貯蓄率がわずか8%程度であるのに対し、中国の貯蓄率は約27%に達しているという。

もう1つ言えるのは中国の市場の巨大さだ。中国市場における小売り販売額のトータルは、米国の約91%に達しているとRothmanは述べている。

テクノロジーの発展によりEコマース大手の存在感は増々、高まっている。アリババの元会長のジャック・マーの保有資産は現在382億ドルとされ、前年の346億ドルからさらに上昇した。また、フードデリバリーから多角化を進めた「美団点評」創業者のWang Xing(王興)の保有資産は、昨年の51億ドルから今年は74億ドルに伸びた。

さらにEコマースの発展は、ロジスティクス分野からも新たな富豪を誕生させた。アリババが支援する物流企業「ZTO」のCEOのLai Meisongの保有資産は昨年の33億5000万ドルから、今年は46億ドルに伸びた。

アリババは先日、別の物流子会社の「菜烏網絡(cainiao)」に対しても、33億ドルを出資すると宣言した。

中国ではファーウェイが主導する5Gネットワークの整備にともない、さらに進化した消費形態が出現することが予想される。中国の富豪リストに今後、新たな顔ぶれが加わることは確実だ。

編集=上田裕資

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