富士通による体操の自動採点システム、そして、Jリーグとコナミデジタルエンタテインメントが、モバイル版の「ウイニングイレブン」で開催したeスポーツ版Jリーグ(アワードでイノベーション賞)。この2つの取り組みが興味深いのは、ひとつのスポーツだけではなく他の競技にも展開され、さらにスポーツビジネスとして発展する可能性を示していることだ。
当事者である富士通の藤原英則も次のように語った。
「体操とは、体を操ることであり、このシステムの活用によりアスリートのデータはどんどん蓄積されていきます。富士通の技術がオープンイノベーションのきっかけとなり、今日集まったみなさんに私達の技術を使っていただき、新しいビジネスが生まれてくれば良いと思っています」
第3部トークセッション「世界を変える、日本の意外な得意分野」
スポーツビジネスの挑戦者たちの熱い思いと、アイデアを形にする粘り強い努力。その素晴らしさを解説するアドバイザリーボードたちの言葉。複数のセッションを通じて繰り返し指摘されたのは「いまスポーツビジネスは、パラダイムシフトの過程にある」という認識だ。
イベント第1部のキーノートでは、パーソルキャリアの大浦征也が、スポーツとビジネスの垣根が年々低くなっていることを指摘。「かつてはスポーツの領域にテクノロジーやビジネスが参入し、スポーツがアップデートされている形でした。
その関わりは変化しつつある。スポーツ界とビジネス界で人材の流動化が加速していくことで、スポーツの力はさまざまな社会課題の解決につながる可能性を秘めている」と語った。
これまで競技ごとにそのあり方を模索してきたスポーツの世界に、ビジネスやテクノロジーの観点から横串を通すことで、実は社会課題の解決へとつながったり、スポーツがビジネスとして自立したりするきっかけをつくることができる。
受賞者、そしてアドバイザリーボードの言葉からはそんな気づきを得ることができた。イベント後の懇親会ではいつまでも会場に残り、会話を交わす参加者の姿が多く目についた。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、そしてスポーツビジネスへの投資マインドの活性化という追い風を受けて、変化していく日本のスポーツビジネス。今回、Forbes JAPANとして取り上げるにあたり、一言にスポーツビジネスとくくるその範囲はあまりにも幅広いということがわかった。
列挙すればきりがないが、エンターテイメント産業やヘルステック、ブロードキャスティング、プロフェッショナル人材の需要、地域振興や健康といった社会課題とのつながり、eスポーツという巨大産業の萌芽など。そこではまだ見ぬ挑戦者たちが今日も新しい結合を進めている。
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