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編集者/ライター


表彰式に続き、イベントの第2部では「スポーツビジネスで新しい市場・価値を生み出すには?」というトークセッションが行われた。登壇者の1人、今回テクノロジー賞を受賞したookamiの尾形太陽は次のように発言した。

「スポーツビジネスに参入するベンチャーは増えており、スポーツ業界への投資も積極的に行われている。ポジティブな変化しか感じていません」

そんな追い風を受けるスポーツビジネスにおいて、「スポーツ産業は、日本の産業のセンターピンになると思っています」と語ったのはキャリアデザイン賞を受賞したAuBの鈴木啓太だ。

もともと「教育」を目的に発展してきた日本のスポーツ界。お金が動いたとしても、それは広告への投資に過ぎなかった。その構造がいま変化し、ビジネスがスポーツの振興を加速させる構造へと進化している。

アワードのアドバイザーである早稲田大学スポーツ科学学術院教授の原田宗彦も、スポーツが従来の公共性を重視するあり方から、自立した価値を提供する存在に変わりつつあることを補足した。

「公共性を重視してきた日本のスポーツが整えたのは、いわばエコノミークラスの環境でした。これからはスポーツにいかに付加価値をつけていくかが重要。ラグビーのワールドカップでは20万円弱から2000万円ともなるホスピタリティーチケットが全て売り切れました。スポーツを見ながらシャンパンを飲み、クラブラウンジが社交場として機能する。企業が接待にスポーツを使えるような環境が徐々に整備されてきています」

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早稲田大学スポーツ科学学術院の原田宗彦

これを受け、同じく登壇していたScrumVenturesの宮田拓弥からは、米NBAでゴールデンステート・ウォリアーズのVIP席が、年に億単位の金額で取引されていることが明かされた。また、ミクシィの石井宏司からは、Bリーグの千葉ジェッツの試合会場が若い経営者たちの社交場として機能していることなどの情報もたらされた。

日本発の技術の可能性、そしてeスポーツにも注目を

イベントの冒頭で、編集長の藤吉雅春が「世界的なスポーツイベントを日本の技術が支えているという、あまり知られていない事実がある」と述べたが、その例として、イベント第3部のトークセッション「世界を変える、日本の意外な得意分野」では、ワールドクラス賞を受賞した富士通の「AIによる体操の自動採点システム」が国際体操連盟に正式に採用されたことが話題となった。

登壇したONEチャンピオンシップ・ジャパンの秦アンディ英之が、採点競技を機械の手に委ねることを「神の領域」とたとえ、熱っぽく、その革新性を語った。

「伝統的な体操競技のなかにテクノロジーを取り入れ、しかも採点ルールのなかに組み込んだ。世界初という技術の素晴らしさはもちろんですが、国際体操連盟との交渉にあたっては非常に難しいものがあったはず。その粘り強い取り組みを賞賛したい」

構成=青山 鼓 写真=木下智央

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