英フィナンシャル・タイムズ(FT)は11月17日、バイトダンスが楽曲の配信権の交渉を、ワーナーミュージックやユニバーサルミュージック、ソニーミュージックなどの世界の大手レーベルと進めていると報じた。
バイトダンスの音楽ストリーミングの月額費用は10ドル以下で、スポティファイやアップルミュージックを下回るという。また、初期のサービス地域はブラジル、インドネシア、インドが想定されているという。
ただし、ブルームバーグは今年5月の記事で、これらのアジア地域では無料のユーチューブやテンセントのQQ Musicが主流で、欧米のような有料の音楽ストリーミングの進出は難しいと述べていた。
一方で、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は11月18日、個人情報の取り扱いや検閲の問題で米国議員から批判を浴びているバイトダンスが、企業イメージを刷新し、「中国ルーツ」の企業であるという印象を拭い去りたい意思を持っていると報道した。
記事中でWSJは、TikTokが本社をシンガポールに移転し、ブランドを刷新する可能性に触れたが、バイトダンスはこの憶測を否定した。また、FTとWSJの2メディアは、バイトダンスが来年のIPOを画策中であると伝えたが、バイトダンスはこの予想も打ち消している。
フォーブスはバイトダンスにコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。バイトダンスの企業価値は直近の資金調達時に780億ドル(約8.5兆円)とされており、世界で最も高価値なスタートアップ企業の1社となっている。
同社が果たして本当に有料音楽ストリーミングサービスに乗り出すのか、また、それがいつになるのかは明確ではない。中国のテンセントは8億人の音楽ストリーミングサービス利用者を抱えているが、有料会員は5%以下とされている。
TikTokは米国で1億人を超えるユーザーを獲得し、米国のSNS市場で初めて成功した中国企業の事例とされている。TikTokはアップルのアップストアのダウンロードランキングで3位を獲得した。ただし、バイトダンスはTikTokのプロモーションに莫大な費用をつぎ込んでおり、フェイスブックやインスタグラムへの広告費は、10億ドルに達したとWSJは報じている。