米調査会社ウェルスXの調べによると、中国では資産額が10億ドルを超える「超富裕層」のうち、27.5%が50歳未満となっている。この比率は、世界平均の13%よりもはるかに高い。また、超富裕層の93.5%は自力で富を築いた人が占めている。
米コンサルティング会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーのアナリストらはリポートで「80年代以降に生まれた中国の裕福な世代が、高級品の購入でけん引役になっている」と現状を分析。
「中国が経済大国として台頭してくる中で育った彼らは、キャリアや収入の面でピークを迎えており、頻繁に旅行して、ステータスや成功を誇示するようにお金を使っている」と記している。
9割超が「価格より品質を重視」
所得が増えた中国の若い消費者は、有名ブランドの高品質な高級品や、豪華な旅行にお金を使うようになっている。調査会社ミンテルが中国の消費者を対象に実施した調査によると、商品を買う際に「価格よりも品質を重視する」と答えた人は全体の91%に上った。
ミンテルのアソシエートディレクター、ジェシカ・ジンは、中国の消費者は賢くなってきていると説明する。「中国の消費者は、自分の価値観に合った、新しく、より豊かな経験をさせてくれる製品やサービスであれば、それなりのお金をかけてもいいと考えるようになっている」。
ジンも、こうしたライフスタイルは「可処分所得の堅調な伸び」によって支えられているとの見方を示している。
米ゼネラル・モーターズ(GM)が先月、高級車ブランド「キャデラック」の中国での累計販売台数が100万台に達したと発表したことも、同じ文脈で捉えられるだろう。キャデラックは16年前に中国での販売が始まり、このほど新型セダン「CT4」も発売された。
ドイツのアウディやBMW、メルセデス・ベンツといった高級車メーカーは、GMに先駆けて中国で100万台の販売実績を記録している。
世界の高級品市場に占める中国の割合は、今後さらに高まっていく見通しだ。
米ボストン・コンサルティング・グループと中国のネット大手、騰訊控股(テンセント)が今年6月に公表したリポートでは、中国の比率は2018年の33%(金額ベースでは1220億ドル)から、25年には41%(1730億〜1810億ドル)まで上昇すると予想されている。中国の高級品市場はこの期間に、年平均で5〜6%成長すると見込まれている。
世界の旅行・観光業界でも、中国の消費者は高級品の最大の買い手になっている。不動産仲介会社サヴィルズによると、中国人消費者による高級品購入の4分の3以上は外国を旅行中に行われているという。そのため高級品の小売業者は、中国人観光客に人気の都市での新規出店に力を入れている。
これはおそらく賢い選択だろう。アリババの独身の日の取引額が毎年過去の記録を更新してきた通り、ネット通販が急成長を遂げてきたのは確かだが、高級品に関しては、中国人はやはり実店舗での購入を選びがちだからだ。