I am Clinical Associate Professor of Psychiatry and Behavioral Sciences at SUNY Upstate Medical University in Syracuse, NY.

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心理学者が直面する大きな謎の一つは、「変化」の必要性を一時は強く意識していた人が、少し時間がたつとその関心を失ってしまうことだ。新年の抱負を毎年守れない人ならば、誰でもこの現象を経験したことがあるだろう。

科学誌「心理科学における現在の方向性(Current Directions in Psychological Science)」に2017年に掲載されたオレグ・アーミンスキーの研究レビューでは、ある決断を下し、それを持続させる私たちの能力は、現在と将来の自分のつながりを認識できるかどうかにかかっている。明確なつながりが見えれば、短期的な楽しみを我慢して、将来充実感を得るため努力することができる。

これは、多くの人が間違った方法で変化を求めることを示唆しているという点で重要な発見だ。現在の自分に不満がある人は、全てを根底から変えることを求めることが多い。一種の心理的イメージチェンジといったところだ。しかしそれでは、理想の自分と現在の自分との間に明確な橋渡しやつながりが認識できないため、関心を引きつけやる気を起こすことができない。

これにより私たちは目先のことにとらわれるようになり、日々の心配事や誘惑に振り回されて最終的な目標に全く近づけない。より将来のことを見据えたアプローチは、現在と未来の自分を直接つなぐものだ。

例えば、私が現在自分について高く評価している強みが他者への寛容さや、他者に感謝をすることだったとしよう。それを認識すれば、私はできる限り寛容で感謝の気持ちにあふれた人になるため、この強みを活用する枠組みを作ることができる。

このようなつながりが機能するのは、変化させようとしていることに私が既に心理的に“投資”をしているからだ。そのため、例えば、私が友人との夜遊びにふけるため、他者に惜しみなく与える機会を見逃せば、それは自分の人格に対する裏切りだと感じる。一方、私がもし寛大さと感謝の気持ちを全く感情的に意識していなければ、夜遊びははるかに魅力的に思えるかもしれない。

こうした論理や研究に基づくと、自分について既に評価している点を最大化することが、変化を促す最も効果的な戦略だという重要な点が見えてくる。

これは、解決策に焦点を当てた変革アプローチに沿ったものだ。このアプローチは、問題が起きるパターンの例外と、その基盤となる強みを探すものだ。

例えばより他人のことを思いやれる人になりたい場合、自分のことばかり考えることなく他者に手を差し伸べた例外的な状況を考えることが、変化を起こす先見的なアプローチとなる。自分が既にうまくやっていることをリバースエンジニアリング(逆行分析)することで、現在と未来の自分の間につながりを作り出し、目標に対するつながりを維持する力が強化される。

翻訳・編集=出田静

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