興味深いことに、カリフォルニア大学バークレー校の研究センター、グレーター・グッド・サイエンス・センター(GGSC)が今年発表した研究レビューでは、なじみのある文脈で未来を想像すること(現在の仕事でより幸せになるにはどうすればよいか、など)の方が、現状と切り離された未来を描くよりも効果的である可能性が高いことが分かった。
同レビューは、将来に目を向けた希望あふれる思考を促す治療介入により、健康が大幅に改善され、ゆううつな気持ちを大きく減少させることができる点を証拠として挙げている。
これは重要な点だ。私たちは建設的な思考・行動方法を自己学習することで、認知行動療法に沿い、遠い未来について考える心理的な習慣を養えることが示されているからだ。将来について考える習慣を身に着けることで、私たちはより効果的に自分の人生を形作ることができる。
ペンシルベニア大学とジョン・テンプルトン財団は、素晴らしい脳研究を含め、未来の見通しに関する調査を実施中だ。
そのウェブサイトには「感情が、現在によって引き起こされる不安ではなく未来への導きだとしたら、どうだろう?」や「記憶が写真のファイルの引き出しではなく、可能性を秘めた希望の箱だとしたらどうだろう?」といった問いが投げ掛けられている。言い換えれば私たちは、これまで自分が完全に理解したり利用したりしたことがない理想の未来を作るようにできているのかもしれない。
私たちの記憶や感情は、未来への指標となり得ることほど際立つのかもしれない。そうであれば、先見性のある考え方を育てる上で特に効果的な方法は、自分の経験に特に敏感になることかもしれない。日常の中で際立つことや、自分が将来より良い存在になる上でそれが何を意味するのかをシンプルに観察した日誌を作ることで、記憶は可能性と希望の宝箱に変化するだろう。
おそらくここからの最も重要な学びは、自分のことを全く好きになれず、全く違う人物になろうとする場合には変革がうまく行かないということだろう。変化が根付く可能性が高いのは、自分の個性を深く評価し、現在の自分を最大限改善しようと取り組んだ場合だ。
私の、資産管理担当者を相手とした取り組みの中で、根本からの変革を目指す取り組みは「スタイルドリフト(投資戦略の変更)」として知られている。これらは一般的に、あまり良い結果をもたらさない。私たちは自分自身から離れるのではなく、自分が既に優れている点をより深めることで、最も将来を見据えたビジョン、そして最も大きな成功を達成する未来を見つけるのだ。