現場からの医療改革

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「医学部の女性差別は本当になくなるのですか?」

医学部受験を希望している女性からこんな相談を受けた。2018年に、東京医科大学の合否判定をきっかけに、医学部入試での女性差別が次々と発覚して以来、受験生たちは不安を抱いている。

2019年の入試は既に終了しており、女性差別が改善されたか否か検討できるはずなのに、文部科学省は情報開示に消極的だ。これまでにやったのは、6月25日に問題が指摘された10大学の状況を報告しただけだ。

その10大学とは、東京医科大学、順天堂大学、北里大学、聖マリアンナ医科大学、神戸大学、岩手医科大学、昭和大学、日本大学、金沢医科大学、福岡大学だ。

この調査によれば、「男性合格率/女性合格率」の数字は、女性受験者差別が判明した4大学では、東京医大が3.11から0.98に、順天堂大学が1.93から0.95、北里大学が0.86から0.78、聖マリアンナ医科大学が1.47から0.79と劇的に改善している。

何らかの問題はあったものの、女性差別は指摘されていなかった神戸大学以下の6大学でも、女性の合格率が向上した大学があった。昭和大学が1.49から0.78、日本大学が2.02から0.87になっている。数字から見ると、常識的に考えて、このような大学でも、これまで女性を差別していた可能性が高い。

文部科学省の残念な回答

では、残りの71大学の状況はどうだろう。これも文科省は調査を実施しており、データは持っている。文科省高等教育局大学振興課大学入試室に、「不正をした10大学以外の今年の合格者数のデータがあるか」と尋ねた。

ところが、回答は「昨年の入学者の男女別合格率の一覧は、問題があったので作成したもので、毎年つくっているものではない。今年は、不公正のあった10校に絞って公表している。それ以外は公表する必要がないと判断した。今年度分は全国医学部長病院長会議で秋ごろに公表予定と聞いている」という残念なものだった。

そこで、全国医学部長病院長会議がデータを持っていることがわかったので、事務局に問い合わせてみた。回答は「全国の大学の取りまとめもまだ終わってない。時間がかかるだろう。委員長が公表という言葉を使っていたのでおそらく公表するだろうが、委員会も理事会もまだ通しておらず、方向性も決まっていない」というものだった。

問い合わせたのは7月だ。医学部受験生が志望校を考える時期だ。女性受験者は、差別はどうなっているか、関心があるだろう。文科省や全国医学部長病院長会議は、どう考えているのだろうか。

それなら、自分たちで調査するしかない。私は濱木珠恵医師(ナビタスクリニック新宿院長)と共同で、2019年の医学部入試における男女の合格率を、それ以前の2013~18年と比較してみた。

文・図表=上 昌広

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