ブラックフライデーに「全店休業」したアウトドアブランドの心意気

Photo by Smith Collection/Gado / Getty Images


この事例は、「激戦日に全店舗を休業にする」という「アクション」がコアの施策だ。単なる「コミュニケーション施策」にとどまらないため、実施自体にたいへんな決断が必要だったことが推測できる。

SNSが発達してからというもの、人々は、飾り立てられた「巧言令色」に敏感になっている。いくら「上手いこと言って」も、少しでも嘘の匂いがすれば、すぐに暴き立てられる。人々は「飾り立てて上手く言うこと」のネガティブな部分に敏感になっているのだ。

「どうせ広告だろう」「どうせ良いことしか言ってないんだろう」「そんな良いことを言っていても、どうせ本気じゃないんだろう」といった感覚が、人々の間に浸透しているのが、現代社会の現状だろう。

痛みを伴ったアクションへの真摯な反応

この事例に学ぶべきことは、「口だけの主張」は極力避けるべき、ということだ。

多額の広告制作費を費やして「上手いこと言っている」広告をつくり、さらに多額のメディア費をかけて、そのメッセージを人々に届けようとするより、例えば「143店舗閉店」という痛みを伴ったアクションを行い、そこに「買い物なんかしてないでアウトドアに行こう。我々はそのサポートをする」といったメッセージを込めるほうが、人々はずっと真摯に反応してくれるのだ。

「#OptOutside<オプトアウトサイド>」の事例から得られるヒントは、あなた自身のコミュニケーションに活かせるに違いない。

「私は地元の活性化をなんとか実現したい」と言い続けるよりも、例えば地元活性化のためのイベントを企画し実行するなど、なんらかの「アクション」を起こす。「受験生である子どものことを大切に考えている」と訴えるよりも、受験に関する親のための勉強会に参加するといった「アクション」を行う。

「フランクな関係性の会社にしたい」と普段から語るよりも、フランクに語り合える社員との昼食会を実施するという「アクション」を行ってみる。

ソーシャルメディアが大きな力を持ち、人々が巧言令色に対して極めてセンシティブになっている今の時代。あなたが伝えたいメッセージをなんらかのアクションで示すことで、より多くの人が賛同してくれるのではないだろうか。

先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま
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文=佐藤達郎

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