ベトナムでは現地メーカーが独自のスマホを製造する動きも起きており、ホーチミン市に本拠を置くコングロマリットのVingroupは、Vsmartと呼ばれるスマホを約100ドルで販売中だ。しかし、ベトナム人の大半は国産よりも海外製のスマホを好んでいる。
「ベトナム人が海外ブランドを好む傾向は、しばらくは続くだろう」と現地のアナリストは話す。ベトナムの賃金は上昇傾向にあるものの、今でも一般労働者の平均的な月給は171ドル程度という。
現地のテック企業Bkavはベトナム初の国産スマホであるBphoneとBphone 2を2017年にリリースしたが、評価は低く、合計で1万2000台程度しか売れなかった。その後、同社は処理能力を向上させ、防水機能を備えたBphone 3を314ドルで売り出した。
しかし、ホーチミン市でBphonesを販売するショップはほとんど存在しない。店舗に並ぶ製品の大半は、OPPOやサムスン、ソニーなどの海外ブランドのスマホだ。
IDCのレポートによると、ベトナムのスマホ市場で国産スマホが占める割合は1%以下という。1位はサムスンで42.8%、続いてOPPO(23.2%)、シャオミ(6.5%)の順になっている。
Vingroup傘下のVinSmartは、この状況に変化をもたらそうとしている。同社は2017年以来、約30万台のスマホを販売したという。Vingroupの会長を務めるのはベトナムでトップの富豪のPham Nhat Vuongで、2018年の同社の売上は52億6000万ドル(約5700億円)だった。
現地の一部のアナリストは、ベトナム消費者の購買行動が、中国人と似たパターンをたどると述べている。中国の消費者はまず海外ブランドに憧れたが、平均収入が上がり、成熟度が増すにつれ、ファーウェイやOPPO、シャオミなどの国産ブランドを好むようになった。
「ベトナムの消費者も将来的には、国産志向になる」というのがアナリストの見方だ。しかし、現地の消費者は今のところ、ブランドよりも価格とクオリティを重視しており、その結果、海外のブランドを選んでいる。