その動きは茨城県鹿島市にある鹿島アントラーズの本拠地「カシマスタジアム」でも起こっていた。メルカリは11月1日の浦和レッズとの一戦で冠試合「アントラーズ・ファミリー・デー・ウィズ・メルカリ」を開催し、同社の子会社が提供するスマートフォン決済サービス「メルペイ」がスタジアム内でどのように使われているかを披露した。
現在、メルペイ はカシマスタジアムの名物「もつ煮」などが販売されるカシマスタジアム飲食売店全店舗で導入されており、試合の当日限定でスタジアムを含む鹿嶋地域でのコード決済加盟店での20%還元キャンペーンを実施した。
コード決済加盟店での20%還元キャンペーンの様子。筆者撮影
奇しくも当日は、2018年からJリーグがファン層拡大に向け、金曜の夜にサッカー観戦をしながら飲み会やデートを提案する取り組み「フライデーナイトJリーグ」の一戦で、メルペイの導入は老若男女が長蛇の列に並ばず、友人や家族との時間を観客席からより楽しむことを目指すための仕掛けでもあった。
スタジアムのキャッシュレス化はメルカリが目指すアントラーズを中心とした新たな街づくりのごく一部。メルカリの鹿島アントラーズ経営権取得にはどんなビジョンがあり、どんな変化がすでに生まれているのだろうか。
メルカリの経営参画がアントラーズにもたらす新たな文化
メルカリ取締役会長兼鹿島アントラーズ代表取締役社長の小泉文明氏は浦和レッズ戦を前にメディアに対して株式譲渡によりアントラーズをグループ会社化した意図や思いなどを語った。
「アントラーズの伝統と歴史を非常に大事にしつつ、テクノロジーを使った改革で更に価値を上げていきたい。そういった思いで、スタートしています」
メルカリはアントラーズの株式を約61%強取得し、8月に完全子会社化。そして経営権を持つこととなった今回の買収には大きく3つの目的がある、と小泉氏はいう。
1つはアントラーズのサポーターとメルカリのユーザーが支えられているファン層の掛け合わせだ。アントラーズは30〜40代の男性を中心に支えられ、一方メルカリは20〜30代の女性が中心となっている。相互に得意とする対象が異なっているのでそれぞれのユーザーやサポーターが行き来するような形になれば大きなメリットがあるのではないかという。