マドゥロ大統領の愚策、経済が悪化する一方のベネズエラ

ニコラス・マドゥロ大統領 / Getty Images

ベネズエラは人為的な影響で経済危機に陥っているが、状況はさらに悪化しつつある。

国家債務は現在、GDPのほぼ2倍にも達している。ワシントンD.C.に拠点を置くシンクタンク国際金融協会(IIF)の最新報告書によると、第2四半期末の時点で、債務総額は対GDP比で198.4%だ。1年前は102.8%だった。

さらに悪いことに、この額には一般世帯や企業の借金が含まれていない。それらが加算されれば、総額は対GDP比で221%に達する。

これはつまり、ベネズエラ政府は借金好きのアメリカと比べて2倍の債務を抱えているということだ。アメリカの2018年末時点の債務残高は対GDP比で106%だった。

あるレベルで見ると、ベネズエラが抱える問題には複数の側面がある。

・ベネズエラではハイパーインフレーションが常態化している。ハイパーインフレーション研究の世界的権威である米ジョンズ・ホプキンズ大学のスティーブ・ハンク教授の推定では、2019年10月末時点の年率は9072%だ。インフレ率がこれだけ高いと、どんなことをしても経済効率は抑制されてしまう。インフレ率が高ければ高いほど打撃も大きい。

・経済は急速に破綻しつつある。経済情報サイト「トレーディング・エコノミクス(Trading Economics)」によると、国内総生産(GDP)は、2016年以降のすべての四半期で、年率換算にして2桁の減少率となっている。2018年第3四半期には、前年同期比で22.5%減と驚くほど落ち込んだことが、同サイトの最新データからわかっている。

・ベネズエラは、中国から巨額の融資を受けるという、疑問の残る決断を下した。IIFの別の報告書によれば、ベネズエラは2007年以降、少なくとも630億ドルを中国から借り入れている。ベネズエラ経済は衰退を続けており、中国への利子支払いはますます困難になるだろう。

・ベネズエラは、原油埋蔵量が世界最多であるにもかかわらず、石油生産量は過去5年間で大幅に減少した。2014年はじめに汲み上げられていた原油量は1日あたり300万バレル弱だったが、2019年9月にはこの量はわずか74万9000バレルになった。問題は、国営石油企業PDVSAの経営状態が悪いことだ。

以上4点が、ベネズエラが桁外れの経済危機に陥っていることを示す症状といえる。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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