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米国最大の企業各社は今年8月、それまでの態度を変えた。JPモルガン・チェースやゼネラル・モーターズ、ウォルマート、ジョンソン・エンド・ジョンソンを含む主要企業の経営者からなる団体「ビジネス・ラウンドテーブル」が株主第一主義を見直すとの声明を発表。株主を喜ばせるだけではなく、今後は何より「従業員を尊重したい」考えを表明した。

過去およそ40年にわたって、企業が唯一の短期的な目標として追求してきたのは、利益だ。そのために賃金を低く抑え、米国の労働者階級の暮らしをむしばんできた──今となっては、その米企業が正しいことを行うことは考えにくい。

米企業はここ数十年間、非常に高い収益をあげてきた。2007年から始まった景気後退以降、総資本に対する税引き前当期純利益の比率は平均11.3%となり、1960年代後半以降で最も高くなった。この数字を驚くべきものにしているのは、2007~09年にかけてのグレート・リセッション(大不況)の期間を含めての平均ということだ。

また、これは同時に、法人税が引き下げられ、当期純利益率が上昇する中で実現されたものだ。2007~19年の総資本に対する税引き後当期純利益の平均は、9.6%となっている。

米国では、企業にとって良いことは国内経済にとって良いことだと言われてきた。ただし、それは企業がそれぞれの得た利益から、工場やオフィスビル、トラックや車、コンピュータなどにより多額を投資することが前提だ。製造業や建設業を中心に、企業が投資を増やせば雇用も増えると考えられてきたものの、米経済はここ数十年、そのようには変化していない。

現在のビジネスサイクルに入って以降、企業の純設備投資は国内総生産(GDP)の2.4%となっており、第2次世界大戦以降、最低の水準を記録している。投資をしなければ、企業は雇用を増やす必要がない。製造業や建設業などの主要産業に大幅な成長をもたらすものも、生まれることはない。

およそ20年間、雇用者数の伸びは過去の平均を大幅に下回っている。経済成長が鈍化するなかで、ますます多くの利益を確保しようとする企業は、大半の従業員の賃金を増やしていない。

編集=木内涼子

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