同時に米国では、世帯が医療や教育、住宅にかかる費用の増加に直面している。これらにかかるコストと賃金の差は、世帯が抱える負債を大きく増やしてきた。多額の負債は経済的流動性を低下させ、多くの人たちを経済的に不安定な状況に追い込んだ。
米企業は過去40年間にわたって利益の大半を、生産能力の拡大のために投資を行い、雇用を創出し、賃金を引き上げるのではなく、株主を喜ばせるために使ってきた。金融業を除く米企業のほとんどが、最終利益のほぼすべてを配当金の支払いや自社株買いに費やし、それによって短期的に、自社の株価を引き上げてきた。
所得格差は2018年、1967年以降最大の幅にまで拡大。上位1%の最も裕福な世帯が国内のすべての富の32.2%を所有するまでになっている。
企業は合併を繰り返し、それによってさらに規模を拡大。ますます大きな力を持つようになった。独占禁止法は嘆かわしいほど、そうした過剰な力を抑制するのに十分な力を持っていない。
企業が従業員たちの重要性を実際に認識したというなら、それは良いことだ。だが、経済格差をかつてないほどに拡大させてきた企業がそれを正すための行動を自ら取ると期待しても、無駄なことだろう。
この問題に対する本当の答えは、企業がひたすら利益を追求することを抑えるための政策の中にある。つまり、必要なのは有効な独占禁止法と労働者保護法を成立させ、施行することだ。