ボーイングは、同機の運航停止により影響を被った多くの航空会社から圧力を受けており、追加で50億ドル(約5400億円)の補償金を約束した。
私が8月にボーイングを取材した際、米航空会社ではMAX型機の運航再開スケジュール延期が相次いでいたが、それでも同社は今年中の運航再開を主張していた。一方の私は当時、同機は2020年まで運航できないだろうとみていた。
そしてボーイングはこのほど、737MAX型機の運航再開が来年1月になる見通しだと発表した。同社は進捗報告書で、「MAX型機の顧客航空会社への納入は、認可を経て12月に始まる可能性はある」とした上で、「私たちは現在、更新版の訓練要件の最終確認に向け取り組んでいる。これは、MAX型機が商用サービスを再開する前に完了される必要がある。商用サービスは1月の開始を想定している」と述べた。
ボーイングは、商用航空機部門の未来を737MAX型機、787ドリームライナー、そして次世代の777X型機に賭けていた。しかし、ボーイングが抱える問題はここにきて、非常に静かに、大きく悪化した。ドリームライナーは各航空会社に大きな成功をもたらしたが、ボーイングは先日の四半期決算発表で、同型機の月間生産量を14機から12機に減らすことを明らかにした。これはそれほど大きな数には見えないかもしれないが、現在生産中のモデルで最も大きな成功を収めているドリームライナーの減産を決めた理由として、ボーイングは「現在の国際貿易環境」を挙げている。
しかし、ボーイングの最新の発表の中で最も憂慮すべきなのは、777X型機に関する部分だろう。同機はエアバスのA350型機に対抗するモデルとしてだけでなく、A380型機、さらにはボーイング747型機などの4発ジェット旅客機の生産終了をもたらすモデルとなるべく開発されていた。777-9型機はエンジンの大型化により、400人以上の乗客を運ぶ最大の商用双発ジェット機となるはずだったが、開発は壁にぶち当たったようだ。