弱冠20歳のリル・ナズ・Xは、シングル「Old Town Road」で19週連続のチャート首位という新記録を樹立したが、今年のCMA賞ではわずか1部門でノミネートされるのみとなっている。
だがリル・ナズ・Xは同シングルのヒットにより、フォーブスの「最も稼ぐカントリー歌手」ランキング初登場を果たした。18位に入ったリル・ナズ・Xの推定年収は1400万ドル(約15億円)。カントリーとラップを組み合わせたキャッチーな「Old Town Road」は昨年12月、インディーズレーベルのアミューズ(Amuse)からリリースされ、ストリーム配信での再生回数は夏までに18億回に達した。
ビルボードは同曲をカントリーチャートから外すことを決めたが、この決定(そして一連のリミックスバージョン)によって、同曲はカントリーというジャンルの人気拡大に大きく貢献した。
アミューズの共同創業者、ディエゴ・ファリアスは「東南アジア、さらには東欧など、カントリー楽曲がヒットしたことがない国々でバイラルチャート入りを果たした。カウボーイハットとブーツとは無縁のような国でだ」と語る。
リル・ナズ・Xのほかにも、巨額を稼ぎながらもCMA賞のノミネーションが振るわなかったアーティストはいる。ルーク・ブライアンはここ1年で4250万ドル(約46億円)を稼ぎ、2年連続で最も稼ぐカントリー歌手となったが、CMA賞では一つもノミネーションを得られなかった。
この理由はもっぱら、ブライアンが2017年を最後に新作アルバムを出していないことにある。ブライアンはその代わり、1公演当たり100万ドル(約1億円)を稼ぐツアーや、オーディション番組「アメリカン・アイドル」の審査員といった仕事に時間を費やしている。
「最も稼ぐカントリー歌手」ランキングは例年、カントリー界での多様性の深刻な欠如を反映してきたが、今年トップに入った顔触れは、時代が変わりつつあることを期待させるものとなった。今年は上位20位に女性が6人入り、女性の比率はランキングの7年間の歴史で最高に達した。
また、リル・ナズ・Xは非白人で初めて、さらには同性愛を公表している人物としても初めてランキング入りを果たした。リル・ナズ・Xは今年、BBCとのインタビューで、「自分はより多くの人々のために道を切り開いているように感じる」と語っている。