村上隆がストリートカルチャーの祭典に注力する理由


村上:正直言って、彼が今のように名を挙げることになるなんて、信じられませんでした。

MADSAKI :僕がカイカイキキに所属してからずっと言ってますね。

村上:先日のオークションでは、彼の作品が5万ドル(約550万円)で落札されました。最近では、バージルも彼の絵画を買いました。

なぜ売れるのかわからないのですが、この世代における大きな波が来ていることは確かです。

今、アートの世界では「勝ち」に空白ができています。この状態は、若くて才能のあるアーティストがスターになれる土壌が整っているとも言える。

だからこそ彼ら、彼女たちにはインスタグラムなり、その他のソーシャルメディアを使ってこのマーケットに食い込んできてほしいと思っています。

どんなに小さいスケッチからでもデビューできる時代です。3秒でも時間があれば、作品を作ってください。そしてそれをソーシャルメディアに投稿する。

その小さな積み重ねから学ぶことって多いと思うんです。

MADSAKIは、それを長いことやっていたアーティストです。

MADSAKI :先ほどもお伝えした通り、僕はアートを辞めるギリギリのところまで行きました。

二人の子どもに、どう飯を食べさせるんだって。それに、当時は40歳になる直前だった。

そんな時に村上さんが僕を見つけてくれた。だから今僕が伝えられることは、自分が信じていることを、絶対にやめるなということ。

だから僕よりも若いアーティストは特に、インスタグラムを上手に使って欲しい。アーティストも発信ないといけないんです。

村上:最後になりますが、とにかく、僕たちのブースを見てきてください。コンプレックスコンに出展することは、僕たちにとって本当に重要なことなんです。

「アートバーゼル」に出展する時と同じくらい気合いを入れて、今ここにいます。

欧米を中心とした現代のアートマーケットの力はまだまだ偉大です。その一方で、ストリートカルチャー出身のアーティストも、インスタグラムで発掘されたアーティストも、現代アート世界において一流の仲間入りを果たしていることは事実です。

そんな彼らをはじめ、若いアーティストたちが、近い将来何をしてくれるのか僕は楽しみにしています。

取材協力=ComplexCon 写真=Jennifer Johnson 翻訳・構成=守屋美佳

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